第3958冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか 久田 則夫 (著)

 

 

 

 

-セルフ・リーダーシップの推進

 

よきリーダーを目指すのであれば、周りの状況をよき方向に変えていく起点は、常に自分自身にあるといった他者依存(アウトサイド・イン)の考え方には決して陥らないようにする。

 

そうした姿勢を身につけたリーダーになるには、自分はそもそも何をしたいのか、何を大切にするのか、自己と向き合うことが必要になる。“なりたい自分”のイメージを明確にし、そうなるためには自分はどのような行動を起こすことが求められるのか、熟慮することが求められる。

 

こうしたアプローチによるリーダーシップの形態を、セルフ・リーダーシップと呼ぶ。これは、周りの状況に対してよき影響を与えらえるリーダーとなるために、まず自己に対してリーダーシップを発揮し、自分自身をよき方向に導いていくという考え方に基づいている。人がコントロール可能なのは自分自身だ。誰も他者を完全な意味でコントロールできない。自分をコントロールし、よき方向、よき行動に導く。自分がよき方向へと着実に変革を遂げたうえで、周りにアプローチをかければ、周りの意見や考え方を受け止めやすくなる。

 

セフル・リーダーシップは、他者を完全にコントロールすることはできないが、自分が自分自身にリーダーシップを発揮し、よき考えとよき行動を手本として示すことによって、他者の自分に対する反応の仕方、自分の考えに対する受け止め方は変えることができる、という考え方に基づくものである。

 

“なりたいリーダー”のイメージに関する問いかけは、セフル・リーダーシップを発揮するリーダーになるための働きかけである。自己をあらためて見つめ直し、“なりたいリーダー”のイメージを自分のなかで「見える化」する。そのうえで、“なりたいリーダー”になるために、どんな行動を起こすか、アクションプランを立案し、着実に行動を起こしていく。それが、チームや部署に所属する職員による影響を与える。リーダーの行動をポジティブに受け止め、正しいアクションへと導く原動力になる。一人ひとりの職員が動き出せば、組織全体(部署・チーム全体)も動き始める。組織レベルでの変化が実現できるようになる。