第3855冊目 

 

 

 

-リーダーシップに類い稀なる能力は必要としない

 

リーダーになるには能力は必要か。答えはイエスだ。が、それは類い稀なる能力、傑出した能力という意味ではない。そうした能力があるに越したことはないが、他者よりも秀でた能力があるからといって、リーダーとして成果をあげられるとは限らない。能力が高すぎるが故に、十分なリーダーシップが取れなくなるケースもある。

 

典型的な例は、自分ができることは、当然のごとく他者もできると思い込むケース。本人にとっては朝飯前のように感じる業務なので、誰だってできるはず、と強く思い込む。そんな視点で他者をみるので、できない人への眼差しや対応が、無意識のうちにきつものになる。「何でこんなこともできないんだ」という態度で接するようになる。結果的に部下・後輩の心は離れていく。なぜ、正しい指摘をする自分に部下・後輩がついてこないのか理解できないので、不快感を露にするようになる。

 

部下・後輩はそうした態度に敏感あ。一方的に責めたてる人には強い反発心を抱くようになる。心はどんどん離れていく。こんな状況になってしまえば、個人としてどんなに力量があっても、チームや組織レベルで成果を収めることができなくなる。

 

こうしたケースがあるからこそ、繰り返し強調させていただく。よきリーダーとなるうえで必須条件となるのは、類い稀なる能力ではない。必要とされる能力の習得や向上に努めるという決意と覚悟だ。リーダーシップの必須要素であるチームワークの強化、向上に寄与するという点において、自分は力がないと気づいたら、習得に向けて行動を起こす。

 

他者に対して、ついマイナスの視点でみる癖があるのであれば、社会福祉の価値と倫理について、今一度、勉強を始める。援助技術や介護技術を他者に手本を見せながら教えることが不得意ならば、あらためて対人援助に関する理論と技術を学び直す。

 

リーダーシップを発揮するうえで、まず必要とされるのは決意と覚悟。さらには、理解が不十分なものを、十分となるよう努力する姿勢と行動が求められているのである。