第3998冊目 「権力」を握る人の法則 ジェフリー・フェファー (著), 村井 章子 (翻訳)

 

 

 

 

-上司が気にすることを気にする

 

ルディ・クルーがマイアミで学校改革を推進していた当時、学校制度の予算は約四五億ドルで、五万五〇〇〇人以上のスタッフが雇用されていた。クルーはおそらく、自分に課された任務はあくまでよりより学校作りであって、それにふさわしい人材を残したい人と考えていただろう。だが教育委員の中には、誰がクビを着られるのかとビクビクしていた人もいたにちがいない。人種や社会階層の問題が関わってくるため、教育委員会は幹部職員の人種構成に神経を尖らせていたが、クルーは無頓着だった。誰かが言ったように「クルー」ではなくラテン系の「クルス」という名前だったら、マイアミに大勢いるヒスパニック系住民の支持を得られたかもしれない。ともあれ、人種差別を巡るあらるパブリックコメントがきかっけでクルーは解雇されることになった。保身に躍起になる一部の委員に対してクルーが十分な敬意を示さなかったことも、命取りになったようである。

 

一般に期待されているほどには実績が評価されない理由の一つに、実績と一口に言ってもさまざま面があることが挙げられる。しかも、上司が重視することとあなたが大切にすることは必ずしも一致しない。ジェイミー・ダイモンがシティグループで職を失ったのは、サンディ・ワイルの娘と喧嘩をした直後だった。ワイルは会社の業績だけでなく家族の体面にも気にかけるタイプだったのである。

 

上司が何を重視するか、自分はちゃんと知っていると考える人は少なくない。だが読唇術の心得でもないかぎり、うぬごれは禁物である。下手な推測をするよりも、上司に直接聞く方がよほど効率的だ。仕事で重視するのはどんなことか、自分に何を期待しているか、折に触れて質問しよう。またアドバイスを求めるのも関係作りに役立つ。自分が無能に見えないよう注意しつつ、力を貸してもらうのもいいだろう。これは、上司をいい気分させる効果がある。ただし言うまでもなく、何を重視するかを質問するからには、上司の答に沿って行動しなければならない。