第3395条件――いかに成果をあげ、成長するか P・F. ドラッカー (著), Peter F. Drucker (原著), 上田 惇生 (翻訳)

 

 

 

 

-成長するための原理

 

 

組織に働くわれわれのほとんどが、驚くほど小さな成果しかあげていない。私は半世紀以上、いろいろな組織の人と仕事をしてきた。ほとんどの人が、よく働き、いろいろなことを知っていた。しかし、十二分に成果をあげている人は少なかった。

 

 

成果をあげる人とあげない人の差は、才能ではない。成果をあげるかどうかは、いくつかの習慣的な姿勢と、いくつかの基礎的な方法を身につけているかどうかの問題である。しかし、そもそも組織というものが最近の発明であるために、人はまだ、それらのことに優れるに至っていない。成果をあげるための方法は、かつてのひとりだけの工房の時代と、今日のような組織の時代とでは異なる。ひとりの工房では、仕事が人をつくりあげる。組織では、人が仕事をつくりあげる。

 

 

成果をあげるための第一歩は、行うべきことを決めることである。いかに効率があがろうとも、行うべきことを行っているのでなければ意味がない。しかる後に、優先すべきこと、集中すべきことを決めることでらう。そして、自らの強みを生かすことである。

 

 

成果をあげる道は、尊敬すべき上司、成功している上司を真似することではない。たとえ私の本での強みを発揮しなければ、成果をあげることはできない。なすべきは、自らがもっているものを使って成果をあげることである。

 

 

自らの強みは、自らの成果で分かる。もちろん、好きなこととうまくやれることとの間には、ある程度の相関関係がある。また、人は嫌いなことには手間をかけないことから、嫌いなこととうまくやれないことの間には、さらに強い相関関係がある。