第3396条件――いかに成果をあげ、成長するか P・F. ドラッカー (著), Peter F. Drucker (原著), 上田 惇生 (翻訳)

 

 

 

 

-他人が放っておけない人材になる

 

智将は務めて的に食む

自分にとっては不得意分野でも、それを得意とする人はいる。そういうエキスパートをうまく使えることも、自分の実力のうち

 

 

不得意分野を減らす努力は必要ですが、すべての分野を得意に変えることは不可能です。

 

 

けれども知り合いに、自分の苦手な分野を得意とする人がいたら、どうでしょうか。その人に助けてもらうことができます。ということは、いろんな分野のエキスパートを人脈に持って入れば、自分の不得意分野がなくなります。

 

 

つまり、人脈も実力のうち。自分の不得意な分野はこのAさん、この分野はBさん、この分野はDさん……といった具体に、自分の足らざを補完してくれるたくさんのパートナーを持ち、彼らとあたかも一人の人間のようになることで、どんな仕事でも受けることができるようになるのです。

 

 

それが孫子の言う「敵を食む」です。

 

 

私なども自分の実力はそれほどでもありませんが、教え子たちのなかには世界の要人と親しい大学教授とか、経済情勢に精通している金融機関のトップなど、とびきり優れた人が大勢います。

 

 

彼らが私の知らない情報や知識を教えてくれるおかげで、「田口先生、すごい情報をつかんでいますね」と驚かれることもしばしば。幅広い分野で精度の高い講義をするうえで、本当に助けられています。

 

 

ただし誰もがパートナーになってくれるわけではありません。そこはやはりギブ&テイク。自分自身に光る専門分野があってこそ、その実力を目当てに、いろんな人が気持ちよく協力してくれるのです。

 

ビジネスがグローバル化するこれからは、いままで以上に多彩な専門能力が求められます。自分の力だけでは、とても太刀打ちできません。

 

 

だからこそ自らの得意分野の実力を磨き上げ、他人が放っておけない人間になることが大事なのです。