第２３４０冊目 カリスマは誰でもなれる オリビア・フォックス・カバン (著), 矢羽野 薫 (翻訳)

カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

• 称賛する

デール・カーネギーが今や古典となった「人を動かす」を書いたのは１９３６年のこと。彼が提唱した指針の多くは言い古された感もあるが、いくつかの基本原則は健在だ。とくに、称賛に関する言葉は現代にも当てはまる。「私たちは正直な称賛を切望している。これは人間の本能をつねに苦しめる飢えだ。この飢えを満たせる人は一握りしかいないが、それができる人は人々を意のままにする」

この考察は科学によって裏づけられている。人は称賛に対して驚くほど敏感だ。カリフォルニア工科大学などで研究している出間圭世が行った実験では、コンピュータに「よくできました」と褒められると、脳の中で予想外の金銭的報酬に反応する場合と同じ部位が活動する。

最も効果的で信用できる称賛は、個人的かつ具体的な称賛だ。「いい仕事だ」ではなく「あなたはいい仕事をした」。さらには「クライアントが不愉快そうにしたときも、あなたが冷静だったのは素晴らしい」と褒める。

第２３４０冊目　カリスマは誰でもなれる オリビア・フォックス・カバン (著), 矢羽野 薫 (翻訳)

カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

• 称賛する

デール・カーネギーが今や古典となった「人を動かす」を書いたのは１９３６年のこと。彼が提唱した指針の多くは言い古された感もあるが、いくつかの基本原則は健在だ。とくに、称賛に関する言葉は現代にも当てはまる。「私たちは正直な称賛を切望している。これは人間の本能をつねに苦しめる飢えだ。この飢えを満たせる人は一握りしかいないが、それができる人は人々を意のままにする」

この考察は科学によって裏づけられている。人は称賛に対して驚くほど敏感だ。カリフォルニア工科大学などで研究している出間圭世が行った実験では、コンピュータに「よくできました」と褒められると、脳の中で予想外の金銭的報酬に反応する場合と同じ部位が活動する。

最も効果的で信用できる称賛は、個人的かつ具体的な称賛だ。「いい仕事だ」ではなく「あなたはいい仕事をした」。さらには「クライアントが不愉快そうにしたときも、あなたが冷静だったのは素晴らしい」と褒める。

より多くの称賛を伝え、相手があなたに与えた影響を説明すれば、相手はあなたに好意を持ち、あなたの成功に自分が貢献したと感じるだろう。あなたのために自分の行為を正当化するのだ。さらに、ある意味で自分が今のあなたを育てたと感じる。この「当事者意識」が、あなたの成功に対する既得権を彼らに与え、彼らは自分とあなたを同一化する。したがって、あなたの成功に対する責任もより強く感じるだろう。

人に自分の行為を正当化させるテクニックは、典型的なマーケティング手法でもあり、民間航空会社がよく使っている。飛行機が目的地に到着すると、パイロットや客室乗務員が、「数ある航空会社の中から、わたくしたちを選んでいただきありがとうございます」と挨拶をする。このお礼を聞いて、私たちは自分が彼らを選んだのだとあらためて思う。そして、その航空会社をかなり好意的な目で見るようになる。何しろ自分が選んだ会社であり、人間は間違えることをひどく嫌うからだ。先に紹介したジョン・ケネス・ガルブレイスの言葉どおり、私たちは考えを変えるよりも、自分が正しかったことを証明しようとする傾向が強い。ほとんどの人は、自分の判断が間違っていたと突きつけられるくらいなら、自分が選んだ航空会社に満足しようと決めるだろう。

選んだのは自分だ、この会社を、サービスを、提案を選んだのは自分だと思い出させることは、あなたやあなたの意見を支持しつづけてもらう有益なテクニックだ。とくに、状況が厳しくなって人々が不満を漏らしはじめたときは役に立つ。