第2038冊目 会話のうまさで人生は決まる! 成功に導く12のテクニック 安田 正 (著)


会話のうまさで人生は決まる!

会話のうまさで人生は決まる!

  • なぜ、相手に届く話ができない?


弊社オフィスにほど近い新宿駅西口では、ほぼ毎日にように街頭演説が行われています。政治家、活動か、そして人権擁護……。おそらく何千人という人たちが彼らの前を通り過ぎていくと思うのですが、いったい何人の人がちゃんと立ち止まって聞くのでしょうか。


その数はかなり少ないでしょう。なぜかといえば、「話し方」そのものに問題があるからだと思います。つまり、彼らは聞き手に届くような話し方をしていないからです。


これに似た経験を私たちもしてはいないでしょうか?


「お客さんに一生懸命商品の説明をしたのに、何だか空回りしてしまった」


「会議で自分が計画した企画について、さんざん熱弁をふるったのに、かえって皆がシラーっとしてしまった」


などガッカリした経験があるかもしれまん。


相手に届く話し方をするのは、実はなかなか難しいものなのです。

  • なぜ、アナウンサーの言葉は心に響かない?


たとえば話のプロである、アナウンサーの話し方を思い浮かべてみましょう。あのきちんとした話し方で営業をされたとしたら、あなたは商品を買おうとするでしょうか? 正しい日本語、抑揚を抑えた話し方、ゆっくりとしたスピード、聞き取りやすい日本語、明瞭なカツゼツ……どれを取ってみても百点満点です。


しかし、あなたは「この商品を買おう!」とか、「この営業マンは信頼できるぞ」とは思わないでしょう。むしろ、逆に心理的な距離ができてしまうかもしれません。日本語を正確に、発音も聞き取りやすく話しているはずのアナウンサーでさえ、相手の興味を引きつける、あるいは相手に届くような話し方はなかなかできないのです。


その理由はなんでしょうか? 何が悪いのでしょうか?


最大の原因は、話の内容を自分の言葉として伝えきれていないからです。言葉を自分自身のものとして伝えるためには、その内容を深く理解し、それを自分で消化した表現にしなければなりません。単に言葉だけきれいに発音しても、かえって表層的で無機的な、相手に届かない話し方になってしまうのです。


素晴らしい声量のオペラ歌手の歌はみごとですが、私たちが心打たれ感動の涙を流すのは、かすれ声を絞り出すようにして歌う演歌だったりするのです。そと同じです。