第1959冊目 口説きの技術 (角川oneテーマ21) [新書] 山路 徹 (著)



早口にならず、ゆっくり話す


人に与える安心感を考えれば、声や話し方も重要です。


以前に久米宏さんが「ニュースの原稿を読むときには低い声のほうが視聴者に届きやすい声だ」というように話していたことがありました。


それはアナウンサーやキャスターの話術に限ったことではありません。人と話をしているときにも、甲高く大きな声で早口に話すよりも、落ち着いた声でゆっくり相手にわかりやすく話していくほうがいいわけです。


声の高さや低さは、持って生まれた部分も大きいものですが、声の高い人であっても、そうした心がけを持って話していれば、印象は違ってきます。


友人や知人を頭に浮かべ、その人に対してどんなイメージを持っているかを考えたときには、「話し方がおっとりしている人だ」「いつもペラペラ、一人でしゃべっている」「○△□という言葉を口癖にしている」といったことが思い浮かぶ場合も少なくないでしょう。


気が短い人が相手の場合、「おっとりしている」という点がマイナスになる場合もありますが、それよりもマイナスが大きいのは「ペラペラ、一人でしゃべっている」というほうです。いつも慌ただしく早口でしゃべっているという印象があった場合、「その人とはあまり話したくない」と考えるのが普通だからです。


早口とうのはまず聞き取りにくいものなので、現実問題として、何度も聞き返さないと話が先に進まないというわずらわしさが出てきます。気が短い人の場合、おっとりしている人と話すより、かえって苛々させられる場合もあるはずです。


また、あまり早口でしゃべられると、口を挟みにくくなり、会話が成り立ちにくくなります。それこそ、一人で勝手にしゃべっているという印象を与えてしまい、敬遠されることにもつながります。


ビジネス的には説明が下手だという評価をされて、人間としても落ち着きがなく独りよがりと受け取られるのですから、いいことは何もありません。


普段から早口だと指摘されているような人はとくに、ゆっくり話すことを心がけるようにするべきです。もともと声が高い人でも、甲高い声を出さずに話せるならそのほうがいいのはもちろんです。