第1320冊目 その話し方では軽すぎます!  エグゼクティブが鍛えている『人前で話す技法』 [単行本] 矢野香 (著)


その話し方では軽すぎます!  エグゼクティブが鍛えている『人前で話す技法』

その話し方では軽すぎます!  エグゼクティブが鍛えている『人前で話す技法』


「与えたい印象」から逆算する


取得するテクニックは最小限でいい


噂されたい印象について決まったら、そこからが話し方を学ぶスタート地点です。目指したい印象に合わせた話し方を身につけましょう。


一般的に上手とされている話し方のテクニックは、万人に必須のものではありません。自分の印象に合っていなければ、大きく通る声、聞き取りやすい発声、論理的な話の構成は必要ないのです。


目指す印象によっては、逆に、少し小さい声をお勧めする方もいます。


あまり明瞭な発声をしないほうがよい方もいます。


論理的な話の構成すら必要ない方もいるのです。


こういう方々には、「小さい声でも聞き取りやすい発声」「不明瞭な発声でも意味が理解できる言葉づかい」「論理的ではない話の構成でも納得できる話し方」をトレーニングで身につけていただきます。


話し方のテクニックすべてを完璧に身につけるのは、アナウンサーであっても大変な努力と時間を要します。まずはご自身の印象を決めた上で、必要なテクニックだけを習得するようになさってみてください。


声の出し方次第で、三通りの印象に


最初にお勧めしたいのは、声の高さと話す速さを変えることです。


ある心理学の実験で、相手に印象を与えているものは、「その人の声、顔や服装、体格の順で影響が強い」と報告されています。


まず声にかかわる「高さ」と「速さ」を変えることが、一番大きな変化を期待できるのです。


「親しみやすさ」を狙う人は、やや高めの声でゆっくりと話します。


「社会的望ましさ」の人は、反対に低めの声で、ゆっくりと話してください。


「活動性」の人は、やや高めの声で速めに話すように心がけてみてください。


この場合、速めに話すことで話が伝わりにくくならないように、一文の長さは短くします。「〜して、〜して」と、言葉を長くつなぎながら話すのではなく、「〜です」と言い切った形で短文をつないで話すということです。


人の印象はそれぞれ違い、人の数だけ印象の数もあります。最初から自分だけのオンリーワンの印象を狙うのは困難です。


まずは、大きく分けると自分が三つの要因「親しみやすさ」「社会的望ましさ」「活動性」のどれに当てはまるかを考えましょう。そして、意図的に話し方を変えてみると、印象操作の効果が実感できるはずです。試行錯誤しながら人前で話し続けると、最終的にはオンリーワンの印象が手に入るのです。


ちなみに、この三つの要因全てにおいて、軽い人、重い人が存在します。「親しみやすさ」が軽い、「社会的望ましさ」は重い、というわけではにので、混乱しないようになさってくださいね。