第1319冊目 劇団四季メソッド「美しい日本語の話し方」 (文春新書 924) [新書] 浅利 慶太 (著)



歌でもできる母音法


「『美しい日本語の話し方』教室」では、授業の最後に全員で『友だちはいいもんだ』という歌を合唱します。


『友だちはいいもんだ』は、一九七七年初演の劇団四季オリジナルミュージカル『ユタと不思議な仲間たち』の劇中歌。作詞は岩谷時子氏、作曲は故・三木たかし氏と、当代きっての才能あるアーティストによって生み出された名曲です。作品は多くの人に愛され、あちこちで歌い継がれています。


この曲には、「友情」「助け合う心」「連帯」など、たくさんの重要なメッセージが込められています。授業の最後に、生徒全員でお互いの目を見ながらこの歌を合唱する様子は感動的で、見学している先生の中には涙ぐむ人も多くいます。


歌はただ歌って楽しむだけのものではありません。話し言葉と同様に、自分の思いを聴いている相手に伝えることができます。


だから、歌を歌うときにも正しい日本語を意識することがとても重要。母音法で歌ってみることで、歌詞が明晰になり表現力が大きくアップします。


舞台稽古に臨む四季の俳優たちは、セリフだけでなく歌についても母音法で訓練を重ね、それから子音を乗せて歌っていきます。


もちろん、「『美しい日本語の話し方』教室」でも、母音だけで歌う練習をします。あなたが『友だちはいいもんだ』をご存じなら、実際に歌ってみましょう。


『友だちはいいもんだ』
ともだちはいいもんだ
目と目でものが言えるんだ
困った時は力を貸そう
遠慮はいらない
いつでもどこでも君を見てるよ
愛をこころに君と歩こう
みんなは一人のために
ひとりはみんなのために
みんなは一人のために
一人のために


ここから母音をピックアップしてみましょう。


オオアイアイーオンア
エオエエオオアイエウンア
オアッアオイアイアアオアオー
エンオアイアアイ
イウオエオオエオイイオイエイウオー
アイオオオオイイイオアウオー
イナアイオイオアエイ
イオイアイウアオアエイ
イオイアイウアオアエイ
イオイオアエイ


これを三回ほど繰り返したあとで子音をつけて歌ってみてください。すごく「上手くなった」と感じるはずです。


「『美しい日本語の話し方』教室」を受けている子どもたちは、自分たちの歌声がはっきり変わったことを時間し、感激します。その感覚を、あなたも共有できるはずです。


言うまでもなく、母音法はどんな歌にも使えます。カラオケの一八番にさらに磨きをかけたいなら、ぜひ歌詞を母音に直して歌ってみてください。