第1178冊目 伝えるための3つの習慣 [単行本(ソフトカバー)] いなますみかこ (著)
- 作者: いなますみかこ
- 出版社/メーカー: かんき出版
- 発売日: 2011/03/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「あなたの話を聴いていますよ」光線を出す
HRインスティテュートのコミュニケーション研修のなかに、「聴く・訊く・話す」の3つの各6問ずつ採点してもらうシートがあります。
日本のビジネスパーソンは、どの点数が一番高いと思いますか?
「聴く」だと思ったのではないでしょうか?
その通りです。「聴く」が一番高い人がほとんどです。
でも、本当にできているのでしょうか? 相対的に言ったら「聴く」なのでしょうが、できるいてるかといえば、あやしいものです。
カルチャースクールをのぞくと「話し方教室」や「スピーチ上達講座」の類はたくさんありますが、「聴き方」をテーマにしたものはあまり見かけません。
聴き方なんて教わるものでもないと、みんなが思っているからでしょう。でも、人の話を聴くというのは、意外とむずかしいのです。
聴くときは、「私はあなたの話をたしかに聴いていますよ」というサインである相槌を忘れないこと。このとき、言い方やトーンにも気をつけてください。
たとえば、力強く「いいですね!」と言うのと、なんの抑揚もない「いいですね」では、相手に与える印象がまるで違います。もちろん望ましいのは相手に前向きな気持ちや落ち着きを与えるほうです。
また、いつも「はい」「ええ」「うん」ばかりではなく、どんな言葉を使うかも工夫してみる。
コンサルタントがよく使う相槌に「なるほど」と「おっしゃるとおり」があります。これは「はい」などよりも、相手の言っていることを積極的に肯定しているように聞こえるので、安心感の増す、相手にとってはうれしい相槌です。
だからといって多用すると、軽んじているように聞こえることもあります。使い過ぎには注意しましょう。
声のトーンも大切です。落ち着いた声で、「なるほど」、うなずきとともに声が少しもれるというのはいいのですが、妙に上ずった声で「なるほどぉ!」となると、お調子者のような印象を与えます。語尾はくれぐれも下げるように。
一般的に、女性よりも男性のほうが相槌をおろそかにしがちです。とくに男性は、意識して相槌をいれるようにすること。最初は照れくさいかもしれませんが、がんばってください。
「相槌されるのはキライです。なので自分もしません」という人。相手はあなたじゃない。他人なのです。ギャップがあるかもしれません。とくに、女性に対しては相槌は大切です。
言葉だけでなく、聴いているときの表情や態度もまた重要です。相手がつまらなそうな顔をしていると思った途端、話すほうは気持ちが萎えてしまいます。
そういう意味ではメモをとるというのも、聴く側の熱心さが伝わるので悪くありません。ただ、手元にばかり目がいってしまって、相手の顔を見ないというのは問題です。アイコンタクトは話を聴くときの基本、メモよりこちらのほうを優先したほうがいいと私は思います。
この相槌やうなずきに代表される「あなたの話を聴いています」「どんどん話し手ください」ということを積極的にアピールする聴き方をアクティブ・リスニングといいます。
相手が話すのが好きなタイプの場合、この技術が大切です。「あなたは、聞き上手だから」といって、どんどんお話をしてくださいます。もちろん、こころのギャップも少しずつ埋めていくことができます。