第1170冊目 話が通じない人とも話せる傾聴力 (アスカビジネス) [単行本]武藤 清栄 (著)
- 作者: 武藤清栄
- 出版社/メーカー: 明日香出版社
- 発売日: 2010/08/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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うなずくだけで、会話はぐっとスムーズに
では、次にコミュニケーションで大切な「うなずき」を練習してみましょう。
さきほど書いたように、うまくいっているカップルは、うなずく回数が多いのです。
うなずきは、「話を聴いていますよ」という一番わかりやすいメッセージです。
アメリカの心理学者、マタラゾがうなずきの効果について実験を行っています。
実験では、警察官と消防士の採用試験にやってきた男性たちに、1人当たり45分間の面接を行いました。そのうち、途中の15分間だけ、面接官が応募者の話に対してしっかりとうなずいてみせたところ、その15分間だけ、応募者の発言量が大幅に増えたそうです。一方で、面接の間、とりたててうなずかなかったケースでは、応募者の発言量が増えることはありませんでした。
相手がまったくうなずかずに、話を聞いている場合、話し手のほうには、「この人は私の話を聞いてくれているんだろうか」「話の内容がわかっているだろうか」「この内容に反対なんだろうか」など、心に不安がめばえてしまうのです。
あるラジオのレポーターが言っていました。
インタビューするときに、相手の話を「ええ」「はい」と、相づちをひんぱんに打ちながら聞いていると、相手の話に自分の声がかぶってしまい、ラジオの音声としては、聞きづらくなる場合があるそうです。
けれども、こちらが無反応だと、相手はスムーズにしゃべってくれません。
そこで、インタビュー中は、相手の目を見ながら黙ってうなずくことで、相手に話の先を促しているというのです。
話を聴いているのがラジオの向こうの不特定多数の人たちだとわかっていても、目の前にいる人がうなずいてくれないと、話し手は不安になってしまうのですね。
浅いうなずきは、話の展開をうながし、深いうなずきは「そうだったんですね」と共感のサイン。
ただし、顔をしかめながら、「はいはい」とうなずいたり、あごを上げ、のどの反らすようにしてうなずくと、相手はバカにされているような気になります。