第884冊目  「分かりやすい説明」の技術 最強のプレゼンテーション15のルール (ブルーバックス) [新書]藤沢 晃治 (著)

音読の勧め

つまり説明上手になるためには、本書で述べた一五のルールを、確実に記憶に定着させることだけで十分に効果があります。

記憶に定着させる秘訣は、反復です。新しい英単語を覚えようとするとき、2、3回声に出して読んだだけでは、翌日になれば忘れてしまいます。しかし、繰り返し書いたり読んだりしていれば、やがて記憶が定着します。

とは言っても、本書を始めから終わりまで、何度も読み返すほど暇な人はいないでしょう。そこで、お勧めするのが、この第四章でまとめた一五のルールを音読することです。一日一回、この一五のルールをゆっくり音読し、それを一〇日間だけ続けていただきたいのです。

音読するなどとはバカバカしく聞こえるかもしれません。しかし、一〇日間の音読後、それから数日後か数週間後、あるいは何ヶ月か後のある日、あなたが何らかの説明をしなければならない状況に立たされた時、ここで定着させたいくつかの説明術のルールが、必ず脳裏をよぎるでしょう。その時、あなたは説明の達人という新しい自分に出会うはずです。

小学生の時、かけ算の九九を、ほんの三週間ばかり声に出して反復練習したことを思い出してください。たった三週間の時間投資で、算数の基礎知識としての九九が、しっかりとあなたの生涯の財産となったではありませんか。説明術も同じです。ほんの一〇日間の時間投資で永遠にあなたのものとなります。さあ、恥ずかしがらずに音読を始めてましょう。

  1. タイムラグの存在を知れ。
  2. タイムラグを短縮せよ。
  3. 「間」を置きながら、しみ入るように話せ。
  4. 具体性と抽象性のバランスを取れ。
  5. 説明もれに気づけ。
  6. 情報構造を浮かび上がらせよ。
  7. キーワードを使え。
  8. 論理的な主張をせよ。
  9. 聞き手が知っている事例にたとえよ。
  10. 聞き手の注意を操作せよ。
  11. 聞き手を引率せよ。
  12. 繰り返しの劣化に注意せよ。
  13. 持ち時間を守れ。
  14. 聞き手に合う説明をせよ。
  15. 聞き手を逃すな