第883冊目  心を上手に透視する方法 [単行本(ソフトカバー)]トルステン・ハーフェナー (著), 福原美穂子 (翻訳)

心を上手に透視する方法

心を上手に透視する方法

言葉の力を最大限に発揮する

「言葉は、思考が肉体化したものだ」と、ゲオルク・ヴィルヘルム・ヘーゲルは表現した。

つまり、私たちは言葉を使って互いに関わりをもち、心を動かすことができる。言葉によって傷つけることもあれば、ほれさせることも、ののしることもできる。どれも、言葉があるからこそできることだ。

言葉を使わない日など一日たりともないだろう。言葉の秘めたる力は、僕がステージ上で行う数々の実験でその効果を発揮している。言葉のおかげで、僕はステージ上に別の現実をつくり出すことができる。うまくいったときは、僕自身にとって、もっともすばらしい瞬間になる。

さて、ここで一つ秘密を打ち明けてもいいだろうか? この項で間なぐ内容によっては、あなたはとても不安になるだろう。あなたが神経の細かい人であったり、他人を操作することについて道徳的に抵抗を感じたりするなら、この項を飛ばし、読まないほうがいい。

しかし僕が知るかぎりでは、ドイツで手に入る本で、操作的な心理学のもってもいかがわしい活用法について読めるものは本書以外にない。

それでもあなたがこの続きをお読みになるのなら、僕は本項で一つ目の言語コントロールのテクニックに成功したことになる。つまり、「不安を呼び覚ますこと」によってだ。

これはあまり用いないテクニックだが、人の興味を惹くのに非常に効果的な方法である。だから僕はショーを始めるとき、いつもこう言うことにしている。

「みなさんに今夜お見せすることは、ひょっとするとみなさんのおつの何人の方をとても不安にさせるかもしれません。それでも僕は、お見せしようと思います」

このテクニックは、相手の関心を惹きたいときにいつでも使うことができる。たとえば新規のビジネスパートナーと話していて、趣味は何かと聞かれたとする。相手の大きな関心を惹きたかったら、こう答えるといいだろう。

「本当に知りたいですか? 私が休みの日に何をしているのかを知ったら、多くの人が不安になるんです……。あまり人に聞かれたくないので、少し近寄って聞いてもらえますか」

相手は確実に、何が何でもあなたの話を聞こうとするだろう。