第3030冊目 心を上手に透視する方法 トルステン・ハーフェナー (著), 福原美穂子 (翻訳)
- 作者: トルステン・ハーフェナー,福原美穂子
- 出版社/メーカー: サンマーク出版
- 発売日: 2011/08/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 「これは誰にも言わないで」と言うと、人は耳を傾ける
二つ目の実証済みのテクニックについては、すでに触れた。「秘密を打ち明ける」ということだ。
誰かに本当に話を聞いてもらいたければ、小声で「秘密をお教えします」と言えばよい。誰もが即座に、あなたに耳を傾けるだろう。なぜなら、秘密はいつでもワクワクするものだから。もちろん、違う言い方もある。
・「この話はほかの誰にも言わないと約束してください」
・「いつもはこんなことを話さないのですが……」
・「このことは心の中にしまっておいてください」
と言えばよいのだ。
三〇ページで述べたお客さんの言葉を、覚えているだろうか? 彼が静かな声で、
「一つ、すごくプライベートな質問をしてもいいですか?」
と僕に聞いたとき、彼はその場にいたら人たちの関心を、すっかり自分のほうに集めてしまった。このうように話が始まったら、あなたは用心深く周りを見回して、話している相手のほうに前かがみになり、それまでより小声で話すようになるだろう。秘密を大きく声で話す人などいないからだ。
ロバート・チャルディーニは、著書「影響力――確信の心理学」の中で、アメリカ在住のウェイター、ビンセントが、このテクニックを使ってチップの稼ぎを大幅に増やすことができた話を紹介している。
通常、アメリカのウェイターは、客にできるだけ高額のメニューを注文させようとする。彼らの賃金は、レストランから決まった額をもらうのではなく、客が支払う合計金額の何パーセントかをもらうことになっているからだ。つまり客の支払う額が高ければ高いほど、賃金も上がる。
しかしビンセントは、客に図々しく高額の料理を押しつけるのが嫌だった。それよりも彼は、成功に結びつくはるかに繊細な行動をとった。
注文をとるとき、彼は少し前かがみになりこう言ったのだ。
「本当のことを申しますと、お客様がお選びになったお料理は、いつもほどよい出来ではないのです。それよりも、こちらからこちらの料理をお勧めいたします」
彼が勧めた料理は、客が最初に選んだものより少し安かった。ビンセントは、自分の利益よりも客の利益を優先させたように見える。しかしまさにそのことで、彼は客の信頼を得て、たっぷりチップを受け取った。
おまけに、料理に合うワインと一番おいしいデザートを勧めると、客はどれも注文した! もしかするとその客は、ビンセントが勧めなければ、デザートやワインをまったく注文しなかったかもしれない
つまり、誰かを相手に何かを達成したいときには、まず先に相手の利益になることをこっそり伝えておくといい。「これから秘密を打ち明けますよ」と予告することは、まさしく同じ行為である。
これでどうすればいいかわかったと思う。でも、これは内緒にしておいてください……。