第3031冊目 心を上手に透視する方法 トルステン・ハーフェナー (著), 福原美穂子 (翻訳)
- 作者: トルステン・ハーフェナー,福原美穂子
- 出版社/メーカー: サンマーク出版
- 発売日: 2011/08/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 交渉のときは、「理由」を伝えて「利益」を暗示する
何かしらの行動の理由を相手に伝えると、理由を言わないでいるようりも、相手の同意を得やすくなる。
たとえば、空港の登場手続き窓口でチェックインのために並んでいるが、もう時間がないとしよう。あなたの前には、大人数の家族連れが四組も並んでいる。しかも核家族が、それぞれ大きなスーツケースを六個ずつ持っている。あなたは手荷物が一つだけだ。
あなたのフライトがもう三十分後に迫っているのに、空港までの道で大渋滞にはまり、着くのが遅くなってしまった。
列の一番前に並んでいる人のところへ行き、「先に行かせてもらえませんか?」とお願いしたとして、はたして入れてもらえるのだろうか? もしかしたら運よく、相手がものわかりがよくてとても親切だということもありうるが、そんなことはめったにないだろう。
ただし、なぜあなたがそんなお願いをするのか、理由を話せば列の前に入れてもらえる可能性が格段に高くなる。
「すみませんが、先に入れていただけませんか? じつは来るときに大渋滞にはまってしまし、着くのがとても遅くなってしまったのです。私のフライトの時刻まで、あと三十分しかないのです……」
と言うのだ。さらに、さりげなく手荷物にバック一つしか持っていないのが相手に見えるようにする。つまり、搭乗手続きがとても早く終わるはずだということを暗示する。こうすれば、成功する可能性が高くなる。
相手に何かの理由を伝えるとき、あなたがなぜそんなことを言うのか、相手が疑問に思うこともありうる。第1章で述べた、期待と経験することの意味を覚えているだろうか。自分がどんな期待をもっているかで、私たちが世界をどうとらえるのかが決まるというものだ。
しかしあいにく、あなたはほかの人がどんな経験をしているのかを知らない。だからあなたが図々しくて、前に並んでいる人を追い越したいと思っているわけでなく、実際に困っている理由があるということを、並んでいる人たちは知る由もないのだ。
人間というものは、何でも疑ってかかる傾向があり、何にでも理由を見つける。誤解されないように、本当の理由をすぐに伝えるのがよいだろう。