第766冊目 話術!虎の穴 現役アナウンサーが明かすトークのネタ帖 三橋泰介/著

話術!虎の穴―現役アナウンサーが明かすトークのネタ帖

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目次


第1章 トークってなに?(フリートークはむずかしい?
フリートークの3要素をつかめ!
聞き上手ってどんな人? ほか)
第2章 トークの技術とは?(応援される魔法の言葉
自分のキャラクターはどこにいる?
○○さんなら… ほか)
第3章 トークのネタを集めよう!(情報収集のパターンは3つ!
「たくさんの経験をしろ!」といわれても…
15秒・15文字で伝えてみよう! ほか)


○○さんなら


「学ぶ」の語源は「マネ(真似)ぶ」といわれています。


まず、何事も「技術上達の近道」はマネること。ですから、憧れの人の口グセ、決めセリフ、所作、間合い、リズムをマネてください。


私も、モノマネをしまくりました。


スポーツアナウンサーとして新人のころ、野獣実況が上手くなりたくて「憧れの人」を見つけました。


全国的に有名なSさんの実況音声を、友人に頼んで手に入れ、すべてを文字にして書き起こしました。プレーボールから試合終了まで、1回から9回まで、1試合すべてです。


その音声はラジオの実況でしたから、文字数はぼう大です。


音声を再生しては、パソコンにカチャカチャと打ち込み、そして再び再生し……。


友人と飲みに行った夜も、「1時間だけがんばろう!」と思い、ちょっとずつ続けていきました。野球の1試合すべて書き出すのに、一ヵ月以上かかった覚えがあります。


その後、私は書き出した紙をプリントアウトし、それを読み上げる練習を繰り返しました。何度も何度もです。そして、その試合の映像を見ながら、読み上げてみました。すると今まで自分がしゃべっていた実況とは、全然違うテンポ、リズムになっていきます。


全国トップレベルの人のマネをしているので当然ですが、「明らかに聞きやすくかわっている!」という実感を感じることができました。


「なんとなくマネする」では足りません。マネるならば徹底的にマネましょう。


すると本番の野球中継でも、「あのアナウンサーならなんていうんだろう?」と頭の中に浮かぶんです。それが励みになりました。


今でもその「実況の紙」は手元にあります。そして、ふとしたときに読み上げています。


「でも、人のしゃべり方をマネするなんて……、コピーじゃん! パクりじゃん!」という方もいらっしゃるかもしれません。確かにその心配はごもっともですが、大丈夫です。


完全に同じにはなりません。声質が絶対に違います。それだけで別もの、「別のトーク」にはなります。


守・破・離(しゅ・は・り)という言葉をご存知でしょうか?


人間が成長する段階をあらわした言葉です。


「守」とは、師匠の教えも守り、その技術を身につける段階。


「破」とは、その教えを打ち破り、次のステップに進む段階。


そして最後に、師匠とは別のアレンジでオリジナルな技術・方法を生み出す段階が「離」です。


この「○○さんなら?」は、「守・破・離」でいう「守」の段階の練習法、意識づけの方法です。


あなたに、すべての良きことが、なだれのごとく起きますように♪


今日の声に出したい言葉

 

編集後記




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