第763冊目 声と言葉の教科書 勝てる日本語、勝てる話し方 福沢朗/著

声と言葉の教科書 勝てる日本語!勝てる話し方!

声と言葉の教科書 勝てる日本語!勝てる話し方!

目次


第1章 声は心の震えである(赤ちゃんの伝達能力をとりもどす
「心の震え」をこめて ほか)
第2章 伝達能力を高める秘訣(伝達能力向上の三つの処方箋
緊張感をほぐす「グーパーマッハ」 ほか)
第3章 勝てる日本語、勝てる話し方(おすすめの日本語
耳障りなコトバ ほか)
第4章 勝てるコミュニケーション術(会話>手紙>メール
自分のポジションを見極める ほか)
第5章 声をよくする「とっておき」訓練法(本当の自分の声
いい声を出すための体感覚 ほか)


大きい声が出せる必要性


演劇の成果では声は大きいほうがいいことは言うまでもありません。演劇の場合は怒ったり泣き叫んだり大笑いしたり、日常生活以上に激しく喜怒哀楽を表現しないといけません。激しい感情表現のときには声が大きくなりますから、大きい声を出すことができるのは必須条件です。客席の一番後ろにいるお客さんにまで伝えるという点においても、絶対条件です。


アナウンサーの世界においても大きい声を出せないといけないと言われます。だから発声練習を一生懸命やります。私は比較的大きい声がさせるほうだったのですけれども、女子たちは「もっと声を大きく」と注意されては、ゲホゲホむせびながら苦しんでいました。


でも待てよ、なんでアナウンサーの世界で大きい声が必要とされるのだろう? だってマイクをつけるわけじゃないか。マイクも拡声器もないところで、百人、二百人を前にして地声で喋るということは、アナウンサーでも普通ありえない。それでもやっぱり大きい声が出せるようにならなければいけないのは、なぜなのか?


新人アナウンサーのころ、私はこんな疑問を持ちました。しばらくその答えはわからなかっったのですが、のちのちわかるようになってきました。


車にたとえるならば、大きい声が出る人は大型の高級外車、小さい声しか出ない人は軽自動車ということです。高速道路を同じ百キロで走った場合、軽自動車はいっぱいいっぱいの状態ですよね。でも高級外車の百キロならわりと余裕があります。実際その機会はほとんどないのですが、出そうと思えば二百キロくらい出る。二百キロ出すことのできる車が百キロ走行するなら、半分の力でできるから楽です。ですがマックス百二十キロの軽自動車が百キロで走るっているのは目一杯で大変。


つまり、大きい声が出せる体というのは排気量の大きい車と同じで、それだけ肉体的にも精神的にも余裕をもって自分の声をコントロールすることができるということ。だからアナウンサーも大きい声を出せるようにならなければいけないわけです。この本はアナウンサーの正解を目指そうと思っている人が手に取っているかもしれませんから、このことは強く言っておきます。


もちろんアナウンサーのみならず、営業マンしかり、就活しかり、プレゼン一つとっても小さい声しか出せない肉体だったら、一時間喋ったら、もうクタクタになりますよね。でも大きい声が出せるような肉体を持っていれば、一時間くらい楽々喋ることができる。


なおかつ声の「高低」「大小」「速遅」を使い分けることによって、いつもいつも百キロで走る必要はなくなります。時には、二、三十キロで走って、ここ一番というところでアクセルを踏み込んで百キロを出す。で、またスピードを落とす。こうすることによって同じ一時間でも、肉体的な消耗を少なくして、しかもリズム感がある伝達能力の高いプレゼンをすることができる、ということになります。


いま小さい声しか出せない方でも、訓練によって必ず大きい声が出せるようになります。


あなたに、すべての良きことが、なだれのごとく起きますように♪


今日の声に出したい言葉

 

編集後記




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