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第3939冊目 介護リーダーの仕事と役割がわかる!
-質問は、スタッフに考えさせる
リーダーは、さまざあな場面でスタッフに質問を投げかけて意見を聞き出し、スタッフが自発的に行動できるようにしましょう。
質問することによって、スタッフに「自分もこのチームの一員として役割を担っている」という参画意識をもたせることにつながりますし、質問に答えることによって、スタッフ自身が「何がいけなかっただろう、どうすればいいのだろう?」とい問題意識をもって考える習慣がついているのです。
とはいえ、質問をしてスタッフの発言を導き出すことは簡単ではありません。いきなり難しい質問をしたり、的外れな質問をしたりすると、相手は黙ってしまいます。
質問には「開かれた質問(オープンクエスチョン)」と「閉じられた質問(クローズドクエスチョン)」があります。オープンクエスチョンとは「〇〇について、あなたはどう思いますか?」のように、相手の意見を求める質問方法で、その質問内容についてある程度知識や経験のある相手に対して使います。たとえば新人スタッフに「嚥下障害のある利用者の食事介助では、どのようなことに注意しますか?」と聞いてもなかなか答えられませんが、ベテランスタッフなら「利用者Aさんの場合、姿勢に気をつけた方がいいと思います」などと、自分の意見を述べることができるでしょう。
一方のクローズドクエスチョンとは「口腔ケアをしたことがありますか?」のように、「はい」か「いいえ」で答えられる質問方法で、相手の知識や経験が少ない場合などに使います。たとえば、新人で消極的なスタッフには、クローズドクエスチョンを使い、気持ちをほぐしてからオープンクエスチョンで考えを引き出し、理解度を確認するとよいでしょう。
①どう、仕事に慣れてきた?
②覚えることがあって大変じゃない?
③嚥下障害について勉強したかな?
④どういうところに気をつけた方がいいか言ってみて
⑤Cさんは嚥下障害がある方なので、明日先輩のDさんに介助方法を教えてもらおうか(理解度を確認)
クローズドクエスチョンばかりだと、「本当は言いたいことがあったのに聞いてもらえなかった」という不満が残ることがあります。そのようなことがないように、クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンを織り交ぜながら、スタッフが「思いを伝えられた」「話を聞いてもらえた」と実感できる状況をつくることが大切です。次にその例を挙げました。
①Cさんの介助で何か工夫していることある?
②どんなふうに工夫しているの?
③いい取り組みです~。そのやり方、みんなと共有しておこうよ(承認)
このようにすることで「次回も自分の意見を述べよう」というスタッフの意欲を引き出すことができます。