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第3917冊目 介護リーダーの仕事と役割がわかる!
-スタッフに合わせて教えることが大事
リーダーがスタッフを育成するとき、「この方法なら全員に通用する」とう正解はありません。介護職としての経験の有無もあれば、社会人としての経験の有無もありますし、年齢の差や学んできたことの違いなど、介護の現場は、ほかの職場より多様な人が集まってきます。また、価値観も多様であり、何を大切に考えて仕事しているかも人それぞれです。
利用者支援に必要な一つひとつのスキルをどういう手順で行うか、という方法は施設で決めておくことができますが、そのスキルをどの程度知っているか、それを正しく実行できるかは、スタッフによって異なります。どのスタッフに、何を、どういう手順で、どうやって教えるかといえば、それは一人ひとりのスタッフに合わせるしかありません。また、介護現場で必要な書類の作成、ミーティングや会議の進め方にしても、スタッフのもつ経験や知識はまったく異なります。
リーダーはこうしたスタッフを育成指導する役割をもっています。スタッフの能力を正しく判断し、さまざまな方法を組み合わせて適切に指導育成していくことが求められます。それがスタッフに合わせて教える、という意味なのです。
一人ひとりのスタッフに合わせて指導を行うためには、まずそのスタッフの能力を知っておかなければなりません。能力といっても介助の技術面のことだけではありません。ここではスタッフの行動を支える能力を3つに分けて考えます。
1つ目は価値観・態度です。介護についての考え方、高齢者や障害者への接し方・社会人としての日常の態度はどうなのか、などです。
2つ目は知識・情報です。高齢者に多い病気や障害に対する知識、介護保険法など福祉や介護の現場に関連する法律をどれだけ知っているか、などです。
価値観・態度(やる気がある)
高齢者に対しての尊敬の念がある
介護という仕事にやりがいを感じている
高齢者や障害者など弱い立場にある人に親切に接している
約束や時間を守る
人の話をよく聞き、自分の意見を述べられる
ほかの人と協力し合える
笑顔がある
個人情報などの秘密を尊厳できる
知識・情報(わかる)
高齢者に多い病気について知っている
高齢者の抱える不安を知っている(経済面、健康面、地域での孤立など)
障害について知っている
技術・技能(できる)
食事介助ができる
入力介助ができる
トイレ介助ができる
仕事におけるホウレンソウを知っている
会議の司会や記録係ができる