第3915冊目 介護リーダーの仕事と役割がわかる! 近藤崇之 (監修)

 

 

介護リーダーの仕事と役割がわかる!

介護リーダーの仕事と役割がわかる!

  • 発売日: 2017/12/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

-事業所で決められたやり方を教える

 

たとえばベッドから車いすに移乗するときや浴槽に入るときなど、利用者は、介助する人が違っても介助方法が同じであれば、安心して介助を受けることができます。反対に、スタッフによってやり方が異なると、利用者は混乱して不安に感じます。その事業所で決められた介助方法をスタッフ全員が理解し身につけていれば、どのスタッフも同じ方法で対応できるはずです。

 

教えることの目標は、望ましい行動を引き出すことです。「正しいやり方は事業所によって多少違う場合もありますが、利用者介助でも文書作成でも、その事業所で統一された方法があり、それを教えられていれば、スタッフは求められている仕事を迷うことなくできるようになります。統一された方法とは、マニュアル、手順書といったものです。

 

特に新人は、何をしたらよいか、どのような手順で行ったらよいかがわからずにいます。事業所で「望ましい行動」を教えることは、大変重要なことです。また、中堅でもベテランでも、「望ましい行動」をしっかりと身につけたうえで応用させることが肝心です。

 

せっかく教えても、スタッフが全員いつでも教えられた通りに望ましい行動がとれるとは限りません。やり方は知っているのにやる気がなくてやらないスタッフ、決められた行動とは異なる行動をとるスタッフもいます。

 

できるのにやる気がないスタッフには、なぜその仕事を行うのかという必要性や、そのスタッフにやってもらいたい理由を伝えます。たとえば、脳卒中の後遺症や片麻痺のある利用者Fさんの食事介助については、「Fさんが楽しく食事をしたり、それによって心身の健康を保つお手伝いをすることが私たちの仕事です。Fさんは、あなたが朝声をかけるといつも笑顔を返してくれるでしょう。だから、食事介助もあなたにお願いしたいのです」というように声をかけます。

 

また、やり方が異なる場合には、「車いすの利用者さんがトイレを利用するときは、まず車いすを便器に対して30度の角度に接近させてブレーキをかけます」というように決められたやり方を具体的に説明します。

 

このようにスタッフのやる気を起こさせたり、やり方を修正させたりすることによって、チーム全体で望ましい行動がとれるようにすることは、教えることの基本になります。リーダーが直接指導する場合もあれば、リーダーが状況を把握して指導役に指名する場合もあります。