第3821冊目 介護リーダーの仕事と役割がわかる! 近藤崇之 (監修)

 

 

介護リーダーの仕事と役割がわかる!

 

ほめることはよいことですが、必要以上にほめてばかりいるのもよくありません。スタッフの中には、リーダーや仲間のスタッフ、利用者や利用者家族など周りの人にほめられることが目的になってしまい、「ほめられないとやる気がしない」「ほめられたことしかやらない」といった問題が起こることがあります。人間は誰でも人に認められたい、ほめられたいという「承認欲求」をもっています。それは活動の原動力になりますが、行き過ぎれば本末転倒となります。

 

 

もし、スタッフにそのような傾向が見られた場合は、少し背伸びすれば達成できそうな新しい目標を一緒に設定するとよいでしょう。承認欲求の強い人は基本的に仕事を頑張って行うからです。

 

 

ほめることに比べ、しかることは難しいと思っているリーダーは多いようです。確かにスタッフをしかるときには注意が必要です。ほかのスタッフの目の前や利用者がいる場で、スタッフをしかるのはやめましょう。もちろん感情的になってしかるのもよくありません。

 

 

一方で、スタッフの間違った行動に対して見て見ぬふりをすることも問題です。1人のスタッフの間違った行動に知らん顔をしてしまうと、ほかのスタッフにも「それでよいのだ」と思わせることになります。すると徐々にチーム全体がルールを守らなくなり、行動がずさんになったり、自己流の行動をとったりするようになります。これでは目標達成どころか利用者サービスの質の低下にもつながりかねません。

 

 

スタッフをしかるのはそのスタッフの間違った行動を改善してもらうためです。しかることは指導の一環です。

 

 

「落ち込んでいるのではないか」「気にしすぎていないか」などと心配な場合は、その後のスタッフの仕事ぶりを観察し、必要に応じて声をかけるとよいでしょう。

 

 

大切なのは、スタッフが前向きな気持ちになれるようにしかることです。そのスタッフに対する期待感、もっとよくなると信じている気持ちを込めて言葉づかいに注意することが必要です。

 

 

しかるときには、できるだけスタッフと1対1になれる場所を選びましょう。そして「さっきのBさん(利用者)の車いすの介助でブレーキをかけたのはよかったけど、左右の足台をしっかり上げていなかったでしょう。足台をあげておかないとBさんの足が引っかかって転倒したり、足にけがをしたりする危険性があるから、必ず足台をしっかりあげてください」というように、その行動の間違いと問題点を説明し、正しいやり方を具体的にアドバイスしましょう。

 

 

このときは必ず間違った行動だけについて説明し、過去の失敗などほかのことを持ち出すのはよくありません。また、一度しかって指導すればすぐ行動は修正されるというものではないので、その後も注意して見守ります。