第3748冊目 介護リーダーの仕事と役割がわかる! 近藤崇之 (監修)

 

 

-間違ったことを見て見ぬふりはNG

 

 

ほめることに比べ、しかることは難しいと思っているリーダーは多いようです。確かにスタッフをしかるときには注意が必要です。ほかのスタッフの目の前や利用者がいる場で、スタッフをしかるのはやめましょう。もちろん感情的になってしかるのもよくありません。

 

 

一方で、スタッフの間違った行動に対して見て見ぬふりをすることも問題です。1人のスタッフの間違った行動に知らん顔をしてしまうと、ほかのスタッフにも「それでもよいのだ」と思わせることになります。すると徐々にチーム全体がルールを守らなくなり、行動がずさんになり、自己流の行動をとったりするようになります。これでは目標達成どころか利用者サービスの質の低下にもつながりかねません。

 

 

スタッフをしかるのはそのスタッフの間違った行動を改善してもらうためです。しかることは指導の一環です。

 

 

「落ち込んでいるのではないか」「気にしすぎていないか」などと心配な場合は、その後のスタッフの仕事ぶりを観察しい、必要に応じて声をかけていくとよいでしょう。

 

 

大切なのは、スタッフが前向きな気持ちになれるようにしかることです。そのスタッフに対する期待感、もっとよくなると信じている気持ちを込め言葉づかいに注意することが必要です。

 

 

しかるときには、できるだけスタッフと1対1になれる場所を選びます。そして「さっきのBさん(利用者)の車いすに介助でブレーキをかけたのはよかったけれど、左右の足台をしっかり上げていなかったでしょう。足台を上げておかないとBさんの足が引っかかって転倒したり、足にけがをしたりする可能性があるから、必ず足台をしっかり上げてください」というように、その行動の間違いと問題点を説明し、正しいやり方を具体的にアドバイスしましょう。

 

 

このときは必ず間違った行動だけについて説明し、過去の失敗などはほかのことを持ち出すのはよくありません。また、一度しかって指導すればすぐに行動は修正されるというものではないので、その後も注意して見守ります。