第3749冊目 介護リーダーの仕事と役割がわかる! 近藤崇之 (監修)

 

 

 

介護リーダーの仕事と役割がわかる!

介護リーダーの仕事と役割がわかる!

  • 発売日: 2017/12/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

 

1人ひとりに個性があるように、人間が集まった職場にも独自の雰囲気があります。その雰囲気は、メンバーが長くいると定着する傾向があり、その雰囲気を「組織風土」といいます。組織風土は職場を構成する人たち自身がつくり上げているものであると同時に、人々の日常行動を支配しているものであります。別の見方をすると、スタッフが「何を大切に思っているのか」「職場や上司に対してどういう感情をもっているのか」といったスタッフのホンネが組織風土ともいえます。

 

 

人間の行動は、その人の性格や意欲、価値観といった要因だけでなく、置かれた環境によっても変わるといわれます。

 

よい環境をつくり出す原則

①リーダーシップの特性

部下を信頼し、上下が自由に話し合える空間があり、部下のアイデアや意見がよく吸い上げられる

②動機づけの方法

部下を参画させ、各人に組織目標を理解させることから強い責任意識をもたせる

③コミュニケーションの特性

上下左右に率直で、正確な意思疎通が行われる

④相互のふれあいの特徴

組織全体に友好的で信頼感のある人間関係があり、チームワークの精神がゆきわたっている

⑤意思決定

組織全体が各階層の問題がつかんで責任をもって行われ、決定に際しては、組織内のあらゆるところから必要な知識や情報が集められて活用される

⑥目標

緊急の場合を除いては、全員参加によって立てられる

⑦統制の仕方

組織内の各階層がそれぞれの目標と計画と自己統制する

 

 

仕事を教える場面では、基本的に「教える人」と「教わる人」の1対1の関係になります。指導の担当を決めて責任を明らかにすることは大切です。しかし、指導役に任せきりになると、ほかのスタッフは関心をもたなくなり、指導役が休みのときに新人はどうしていいのかわからなくなることもあります。また、指導役がすべてのことに精通していない場合もあり、新人が業務全体を十分に習得できないこともあり得ます。

 

 

こうしたことを防ぐためには、指導役を支える仕組みづくりが必要です。指導役が不在のときはリーダーが代わる、サブの指導役を設定しておく、文章作成が得意なスタッフが文書チェックを行う、PCが得意な職員は寄り添って教えるなど、「点」ではなく「面」で新人を指導していく仕組みです。

 

 

 

新人にとって、誰からも教えてもらいない、誰からも声をかけてもらえない状況は辛いものです。多くのスタッフから気にかけてもらい、ほめられたり、場合によってはしかってもらう……。そのようなことで、新人は自分に関心をもってもらっていると感じます。これは大変重要なことで、特にチームで仕事をする介護現場では重要な要素になります。

 

 

そのために、スタッフに「教えることも本来業務である」ことを伝えます。どこの職場にも教えることだけを専門にした人はいません。介護の現場も、利用者への直接支援の業務もあれば、記録や備品の整備に欠かせない業務です。組織に「教える風土」をつくることで、リーダーは指導することを抱え込まずに済みます。さらに、指導力を育て、意識を変えていくことで、わからないことを聞きやすい環境ができ、新人も安心感を得ることができるしょう。