第3737冊目 介護リーダーの仕事と役割がわかる! 近藤崇之 (監修)

 

 

 

介護リーダーの仕事と役割がわかる!

介護リーダーの仕事と役割がわかる!

  • 発売日: 2017/12/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

-振り返りの意義

 

 

介護現場は変化が多い業界といえます。たとえば、介護現場ではさまざまなスタッフが働いています。そのスタッフの顔ぶれはいつも同じというわけではありません。制度や仕組みがよく変わり、社会から求められる要求も高まります。それに対応して経営側からの現場への要求が変化します。

 

 

そうした状況の変化の中で、さらに新しい能力やスキルがリーダーには求められます。そこで、変化を乗り越えていくためには、リーダーは常に自分を成長させていくことが必要になってきます。

 

 

まずはこれまでの自分を振り返ってみる

では、自分を成長させるためには何をどうすればよいのでしょう? 漠然と新しい知識やスキルを身につければ、それだけ成長できるというものではありません。まず取り組むべきことは、自分のこれまでのあり方を振り返り、しっかり自己点検をしてみることです。これは、人材育成の分野で注目を集めており、「リフレクション」とも「内省」とも呼ばれます。

 

 

反省がどちからというとマイナス面に焦点を当てるのに対し、振り返りは、失敗経験も成長経験も含めてこれまでの自分を見つめなおすことです。そこに至ったプロセスや結果を整理することによって、これから自分の行動に役立つノウハウを見出していこうというものです。

 

 

かつて学校教育や人材育成の現場では、「経験(現場の経験)か知識(研究室での学習)か」の二者択一の議論がなされていました。しかし最近では、経験をしたことをしっかりと振り返り、そこから新しい知識(知恵や教訓)を導き出すことに焦点を置いた教育が進められています。リーダーが率先して振り返りを実践し、チーム内にも習慣化させることで日常的な学びと成長の場をつくっていきましょう。

 

 

実際に振り返りを行う場合、リーダーが担う業務に焦点を当て、その業務上の実績などを点検することから始めてみましょう。リーダーの業務は、介護の知識や技術に関する面と、マネジメントの知識や技術に関する面に分類できます。それぞれの分類欄に自己点検項目を書き出してリストをつくり、振り返りを行うようにしましょう。

 

 

リーダー業務に関する自己点検リストの例

①介護のエキスパートとして、十分な介護の知識や技術をもっているか

②介護業務に必要な知識をスタッフに確実に理解させ、自分の指導によってスタッフの介護技術のレベルアップが図れたか

③担当業務の標準化やサービスの品質改善の取り組みを定期的に実施できてきたか

④制度やニーズなど自らを取り巻く状況を把握し、スタッフに対して情報発信を行えていたか

⑤自分の介護能力を高めるうえでの課題は何か、その課題解決の方法は何かをすぐに答えることができるか

 

 

①リーダーとして自覚と責任をもち、組織活動を活性化させるためにリーダーシップを発揮できたか

②スタッフの能力を存分に引き出し、その相乗効果を高め、職場をさらに活性化させる方策を打ち出せたか

③業務の効率化を図るためのマネジメント活動を推進することができたか

④職場内の問題提起と問題解決をリードして、活発な議論の展開を図っていく能力をもっているか

労務管理や予算管理など、必要なマネジメントに関する基本知識と技術を身につけたか