第3736冊目 介護リーダーの仕事と役割がわかる! 近藤崇之 (監修)

 

 

 

介護リーダーの仕事と役割がわかる!

介護リーダーの仕事と役割がわかる!

  • 発売日: 2017/12/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

-当事者意識をもつ

 

 

問題を見つけるとき、あるいは原因を究明するときに必要となってくるのが、「当事者意識をもつ」ことです。当事者意識は、問題解決のみならず、仕事をするうえで最も大事なことです。当事者意識をスタッフにもたせることも、リーダーの役割です。スタッフの目標づくりに参画させるなど、仕事に対する動機づけを行いましょう。

 

 

確かに物事を客観的に見る視点は重要ですが、問題が起きたときに評論家的に腕組みをして眺めてるのでは、チームの一員とはいえないしょう。

 

 

スタッフなら誰でも、利用者が転倒したら駆け寄って助けなければなりませんし、介護の準備が遅れていたら手伝わなければなりません。そうしたときに「私はやらなくていいだろう?」「私の担当ではない」と考えるのではなく、「私に何ができるか?」と職場のチームの一員としての自覚をもって考えることが、問題解決にとって欠かせないポイントです。

 

 

原因を究明する

「なぜその問題が起こったのか」という原因の究明は、問題解決の核心部分です。原因の掘り下げが浅いと、解決策も場当たり的なものになってしまいます。問題の真の原因は、「なぜ(Why)」という問いを繰り返していくことで見極めることができます。原因は1つとは限りません。複数出てくることもありますが、しっかり掘り下げていくことで根本が明らかになることもあります。

 

 

その際、スタッフに対しても的確な質問を行い、考えを深めさせましょう。ただし、ここで気をつけたいことは、スタッフに対して「なぜだ、なぜだ!」という詰問口調で問いかけないことです。スタッフが萎縮して、自由に発想する機会を奪いかねないからです。

 

 

また、先述したように、「人」のみに焦点を当てた問題の原因究明ではいけません。「問題を起こした人」が原因とうのでは、解決策も「問題を起こした人を指導する」といった一過性のものに終わってしまいます。やり方や仕組みに問題がなかったのか、多面的にとらえることが重要です。

 

 

解決策を考える

職場における問題解決に正解はありません。人員やタイミング、予算の都合によってできないこともあります。重要なことは「ベストの解答」を探すことではなく、「今できるベターな解答」を導き出すことです。そのためにも、スタッフの多角的な視点が必要ですし、スタッフが問題解決に参画するプロセスが重要になってきます。

 

 

出てきた解決策は、あくまでも仮設です。うまくいかなければ、別の解決策に軌道修正していかなければなりません。問題解決とは、「仮設と検証」を繰り返すプロセスでもあるのです。

 

 

そして、解決策は、今すぐ行わなければならない「応急処置」を再発させないための「恒久処置」の2つを準備する必要があります。応急処置と恒久処置とでは、今後同じ問題が起こらないようにするための恒久処置、つまり再発防止策こそが重要となってきます。

 

 

また、リーダーは今後起こる可能性のある問題も予測して、スタッフに対して啓発していくことが大切です。問題解決と同時に、今後のリスクマネジメント(危機管理)も一緒に考えていくとよいでしょう。