第3113冊目 FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 ジョー ナヴァロ (著),‎ マーヴィン カーリンズ (著),‎ 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

  • 快適さを示す足と脚


足と脚と注意深く観察すれば、自分が誰かほかの人といっしょにいて、またはほかの人が自分といっしょにいて、心地よく感じているかどうかを判断できる。脚の交差は特に正確なパロメーターとして、人がまわりの人々の中でどれだけ快適に感じているかを表す。不快なときには、このような動作はしない。また自信がある人も、ほかの人の前で脚を交差させる――そして自信は快適さの一部だ。なぜこの下肢の行動が、それほど正直に気持ちを明かすかについて考えてみよう。


ほかの人といっしょに立っているとき、片足をもう一方の足の前にもってきて足を交差させれば、バランスがひどく悪くなる。安全という面からすると、もし本当の脅威が襲ってきたら、すぐに固まることも逃げることもできない。この姿勢では基本的に片足で立っているようなものだからだ。そのために大脳辺縁系は、快適さや自信を感じているときだけ、この行動をとらせる。エレベーターの中で脚を交差させ、片足でバランスをとっている女性も、知らない人がエレベーターに乗って来るとすぐに脚を元に戻し、両足でしっかり立つだろう。これは大脳辺縁系が、「危ないことをしてはいけない。危険な存在や問題の可能性に対処しなければならないのだから、両足を地につけてしっかり立て!」と命じている印だ。


二人の同僚が立ち話をしていて、二人とも脚を交差させているのが見えれば、互いに心地よく感じていることがわかる。第一に、これは二人の間の「ミラーリング」の行動を示しているし、第二に、脚の交差は快適さを表現しているからだ。脚を交差させるこのノンバーバル行動を人との付き合いに応用すれば、二人の関係がきわめて良好で、いっしょにいると心からリラックスできることを、相手に伝えられる。つまり脚の交差は、好意的な感情を伝えるすばらしい手段になる。