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第3917冊目 介護リーダーの仕事と役割がわかる!
-行動を起こすためには何が必要なのか
人が何かの行動を起こすときには、その人の内側と外側に注目する必要があります。人間の内側にあってその人を行動に駆り立てるものを「欲求」または「動機」といい、人間の外側にあってその人の行動が目指そうとする対象を「誘因」または「目標」といいます。
欲求(動機)と誘因(目標)が結びついて人が何らかの行動を起こしたとき、人は「動機づけられた」といいます。つまり欲求(動機)がなければあるいは誘因(目標)がなければ、行動は起きないのです。
やる気が見られないスタッフは、動機づけがうまくできていないといえるので、リーダーはスタッフが心の中にもっている欲求や動機を、誘因や目標とうまく結びつけて、スタッフにやる気を起こさせる必要があります。
何かにチャレンジしてそれが達成できたり、何かを任されてほめられたりするのはうれしいものです。
次のような方法でスタッフが主体的にチャレンジしようという気持ちを引き出す動機づけで、「内発的動機づけ」と呼ばれます。
利用者に声をかけるのが苦手な新人が元気にあいさつしたら、すかさず「今のあなたのあいさつで利用者さんが笑顔になりましたね」と声をかける
トイレ介助の上手な3年目のスタッフに「安全なトイレ介助のコツ」という勉強会を開いてもらうなど責任ある仕事を与え、そのよい点をほめる
経験豊富なスタッフであれば、施設内の事例検討会の発表を任せる
また、負けず嫌いで闘争心が強いスタッフもいます。そのような人たちは、たとえば同じテーマでアイデア発表会をしてもらい、よいアイデアを表彰したり、現場で実際に採用する、といった方法があります。これは人為的な刺激によってやる気を出すので、「外発的動機づけ」と呼ばれます。
動機づけは単独の方法で行うのではなく、いくつかを組み合わせたり、場面によって使い分けたりします。ただし、外発的動機づけは人の心を操作するような場面があるので、注意して行う必要があります。
理解を示す
日常のあいさつや雑談に始まり、スタッフの意見や考えを尊重する姿勢を絶えず見せることで、「理解してもらっている」という感情をもってもらい、信頼関係をつくる
目標の共有化
スタッフ一人ひとりに職場の目標を理解させて、かつ各自の目標設定と方向を合わせることで、チームに対する貢献度を実感させる
達成感を味わわせる
苦心しながらも仕事を達成できるよう、適切な仕事を与えると同時に、成功できるように配慮する
参画させる
単に「これやっておいて」と指示(命令)して仕事をさせるだけでなく、計画の段階から参画させ、自分の仕事としての意思をもたせる
やりがいをもたせる
仕事に興味関心をもたせることで、「やらせれ観」ではなく自発的な姿勢につながる
責任ある仕事を任せる
後輩の指導や人前での発表(事業所内外での事例検討会での発表)、サービス担当者会議への参加など、他者に影響を及ぼす仕事を任せることで、責任を感じながら仕事に取組み、一皮むける体験をさせる
情報を共有することで、スタッフ一人ひとりが自らの役割を意識し、責任感をもつようにする
賞罰
賞与など金銭面での評価を下げる、もしくは上げる
求めた結果が出なかったときに担当から外す。逆に結果を出したときに新しい仕事と責任を与える
当然「罰」より「賞」の方が効果的である
競争させる
同じ仕事を与えて競わせる
研修などでチームリーダーの役割を与え、模擬的に競わせることで気づきを与える
介護現場は競争原理があまりなじまないため、特に注意が必要