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第3945冊目 介護リーダーの仕事と役割がわかる!
-問題が起こっていることを感じる
問題とは、あるべき姿(マニュアルなどの業務標準、ルールや目標など)」と「実際の姿」とのズレのことです。そこで、問題の発生を見つけるためには、まず「あるべき姿」をしっかり知っておく必要があります。
しかし、「あるべき姿」を知っていても、問題を見つける基本的態度が身についていなければ、問題は発見できません。たとえば、日常業務に慣れすぎて問題を感じない無感覚に陥っていたり、このやり方が一番いいひとりよがりになっていたり、私がやってもどうにもならないとあきらめていたり、余計なことはやめておこうと無気力になっていてい、目の前に問題があってもそれを感じられないことでしょう。そのようにならないために問題を見つける基本的態度を養っておくことが大切です。
また、問題を見つける際には、「私見や推測」と「事実」を明確に区別することが重要です。私見や推測に基づいて現状を見ていては、問題を正確に把握することができず、そこから出てくる原因究明や解決策はまったく意味のないもになってしまいます。さらに、感情的な「あるべき論」で問題を取り上げると、問題を起こした人を原因にしてしまい、本当に役立つ解決策に結びつきません。
問題を見つけ、それを正しく人に伝えるためには、事実のみ基づいた表現を心がけましょう。
当事者意識をもつ
問題を見つけるとき、あるいは原因を究明するときに必要となってくるのが、「当事者意識をもつ」ことです。当事者意識は、問題解決のみならず、仕事をするうえでも最も大事なことです。当事者意識をスタッフにもたせることも、リーダーの役割です。スタッフを目標づくりに参画させるなど、仕事に対する動機づけを行いましょう。
確かに物事を客観的に見る視点は重要ですが、問題が起きたときに評論家的に腕組をして眺めているのでは、チームの一員とはいえないでしょう。
スタッフなら誰でも、利用者が転倒したら駆け寄って助けなければなりませんし、会議の準備が遅れていたら手伝わなければなりません。そうしたときに「私はやらなくていいだろう」「私の担当ではない」と考えるのではなく、「私に何ができるか?」と職場のチームの一員としての自覚をもって考えることが、問題解決にとって欠かせないポイントです。
「なぜその問題が起こったのか」という原因の究明は、問題解決の核心部分です。原因の掘り下げが浅いと、解決策も場当たり的なものになってしまいます。問題の真の原因は、「なぜ(Why)」という問いを繰り返していくことで見極めることができます。論理的思考を活用することです。原因は1つとは限りません。複数出てくることもありますが、しっかり掘り下げていくことで根本が明らかになることあります。
その際、スタッフに対しても的確な質問を行い、考えを深めましょう。ただし、ここで気をつけたいことは、スタッフに対して「なぜだ、なぜだ!」という詰問口調で問いかけないことです。スタッフが萎縮して、自由に発想する機会を奪いかねないからです。
また、先述したように、「人」のみに焦点を当てた問題の原因究明ではいけません。「問題を起こした人」が原因というのでは、解決策も「問題を起こした人を指導する」といった一貫性のものに終わってしまいます。やり方や仕組みに問題がなかったのか、多面的にとらえることが重要です。