第3946冊目 介護リーダーの仕事と役割がわかる! 近藤崇之 (監修)

 

 

介護リーダーの仕事と役割がわかる!

介護リーダーの仕事と役割がわかる!

  • 発売日: 2017/12/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

-解決策を考える

 

職場における問題解決に正解はありません。人員やタイミング、予算の都合によってできないこともあります。重要なことは、「ベストの解答」を探すことではなく、「今できるベターな解答」を導き出すことです。そのためにも、スタッフの多角的な視点が必要ですし、スタッフが問題解決に参画するプロセスが重要になってきます。

 

出てきた解決策は、あくまでも仮設です。うまくいかなければ、別の解決策に軌道修正していかなければなりません。問題解決とは、「仮設と検証」を繰り返すプロセスでもあるのです。

 

そして解決策は、今すぐ行わなければならない「応急処置」と再発をさせないための「恒久処置」の2つを準備する必要があります。応急処置と恒久処置とでは、今後同じ問題が起こらないようにするための恒久処置、つまり再発防止策こそが重要になってきます。

 

また、リーダーは今後起きる可能性もある問題も予測して、スタッフに対して啓発していくことが大切です。問題解決と同時に、今後のリスクマネジメント(危機管理)も一緒に考えていくとよいでしょう。

 

 問題解決におけるリーダーの最も大きな仕事は、なぜその解決法を選んだのかを説明できる評価基準を示すことです。たとえば評価基準を「緊急度」と「需要度」にしたとしましょう。この基準でマトリクスをつくると下図のようになります。

 

解決策を評価する基準としては、このマトリクスでⅣ(緊急ではないが、重要である)の視点が最適といえるでしょう。Ⅲ(緊急であり、重要である)の視点で、解決策の実行者に負担がかかる可能性があり、ⅠやⅡでは現実的な対応ができない可能性があります。

 

このようにリーダーは、その場に思いつきで解決策を選択するのではなく、明確な評価基準をもって意思決定を行うことが求められます。解決策の評価基準としては、重要度や緊急性のほかに実現可能性や利用者の満足度、さらには効率性や費用対効果といった経営面からの視点も重要です。評価基準があいまいだったり示されていない場合、スタッフの不信感を抱く恐れがあります。リーダーは全体のバランスを考えながら、筋の取った判断をするよう意識しましょう。