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第3834冊目 介護リーダーの仕事と役割がわかる!
-業務改善の推進も介護リーダーの役割
介護リーダーがまずしなければならないことは、業務標準にのっとって日常業務をミスなく確実に進めるための管理をすることです。しかし、もう1つ大きな役割があります。それは、「業務改善」に取り組むことです。
スタッフの日常的な仕事の進み具合だけに目を光らせているだけでは、リーダーとして不十分です。リーダーは、日常業務の中のさまざまな問題を処理しながら業務標準を維持すると同時に、どのようにして仕事をさらに効率化し、どのようにサービスの向上を図ればよいのかを常に考えながら行動する必要があります。
もし、業務改善への意欲をもたず、現状にあぐらをかいたままでいれば社会の変化や利用者のニーズの変化に対応できません。そうした状況が続くようであれば、福祉事業者といえども経営上の苦境に陥りかねません。また、よりよいケアを受けたいとう利用者とその家族の期待を裏切ることにもなってしまいます。
PDCAは参画型のマネジメント
業務改善は、上意下達で無理やり押しつけても成功しないものです。業務改善を成功させるためには、スタッフに当事者意識をもたせ、主体的に改善活動に取り組むように促すことが重要です。しかし、スタッフの仕事に対する意欲はさまざまですから、スタッフ全員に当事者意識をもたせることは、なかなか難しいというのが現実です。
そこで、有効な手立てとなるのは、PDCAサイクルにスタッフを参画させることです。業務改善のための目標や計画をリーダーが1人で考えるのではなく、スタッフにも提案させ、さらに課題の抽出や対策の検討についてもスタッフの意見を募るようにするのです。そうすることによって自然とスタッフに当事者意識や主体性が芽生え、改善活動は大きく活性化するはずです。そして成果が上がればスタッフは達成感を味わい、さらに積極的に改善活動と取り組むようになります。
逆にいれば、スタッフの参画なくしてPDCAサイクルはスムーズに回りません。PDCAサイクルは、一方的な命令・指示による管理統制型のマネジメントではなく、参画型のマネジメントとしてとらえることが大切です。
リーダーは、PDCAにスタッフを参画させて主体性を育てるために、以下のような点を心がけるようにしましょう。
スタッフの主体的な改善活動を促すポイント
改善意欲をもたらせる
スタッフは現状に安住したいという欲求とは別に、現状に打破したいという潜在的な欲求をもっている。リーダーは、この潜在的な欲求を引き出すことが重要となる
論理的思考を指導する
スタッフに論理的思考を身につけさせることで、自律的な問題解決ができるようになる。問題を解決して達成感や成長感を得られれば、さらに改善意欲も高まる
障害を除去する
スタッフの自主性を阻害する障害を除去し、活動しやすい環境を整えよう。リーダー自身が障害となるケースもあるので注意。ときにリーダーの意に反した改善行動でも、やらせてみる勇気も必要である。