第3759冊目 介護リーダーの仕事と役割がわかる! 近藤崇之 (監修)

 

 

介護リーダーの仕事と役割がわかる!

 

 

-質問を効果的に使い、考える習慣をつけさせる

 

 

リーダーが上手に質問をすると、スタッフにも考える習慣がついてきます。

 

 

たとえば「Pさんが更衣介助を拒否しているのですが…」とたずねらたら、「なぜだと思う?」と逆に質問して、拒否の背景や原因を考えてもらいます。「恥ずかしいのではないでしょうか?」と答えが返ってきたら「どうしたらいいと思う?」と質問し、さらに対応策を考えてもらいます。「カーテンを閉めたらいいと思います」と答えてくれたら「なるほど、カーテンを閉めるのね。ありがとう」と答えを復唱し、答えてくれたことを承認(ほめる)します。その後で「ほかにも利用者のプライバシーに配慮できることがありますよね」とほかの人の意見を求めたり、リーダー自身の意見を述べたりします。

 

 

また、スタッフが自分で考えやすい質問を工夫してみましょう。

 

 

問題がある場合も、質問が重要です。「何が問題だと思うか?」→「何が原因で起こったと思うか?」→「あなたはこの問題にどう関われると思うか?」というように、問題点、原因、解決策と分けて考える必要があります。

 

 

解決策については「私だったら、こうするかもしれない」とヒントを与えます。「こうしなさい」と指示するのではありません。また、ヒントはそのスタッフができそうなことにします。技術や知識、立場にそぐわないヒントだと「それはリーダーだからできる」と反発を招くことがあります。

 

 

その場で答えを出す必要がなければ「次のミーティングのときにみんなで検討しましょう。それまでに考えておいてくださいね」と考える時間を与えます。

 

 

質問への答え方によって、そのスタッフの強みや今後伸ばしていく必要のある点を評価(アセスメント)することができます。たとえばすぐに「リーダーに任せます」という場合は、自分で考える習慣が少ないと考えられます。また、「何が問題か」「原因はどこにあるか」と質問してもなかなか答えられない場合は、物事を整理し順序立てて考えることが苦手と考えられます。これはリーダーにとってスタッフの指導方法を考えるヒントになります。