第3911冊目 介護リーダーの仕事と役割がわかる! 近藤崇之 (監修)

 

 

介護リーダーの仕事と役割がわかる!

介護リーダーの仕事と役割がわかる!

  • 発売日: 2017/12/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

-権限の委譲

 

「職務」と意味の権限の委譲について理解しておきましょう。

 

職務は、特定の人やグループに割り当てられた仕事のことで、責任、権限、義務で成り立っています。責任、権限、義務とは、次のようなものです。

 

責任:果たさなければならないこと。つまり、目標通りの成果を上げ組織の一員として割り当てられ受け持った役割を果たすこと

 

権限:責任を果たすのに必要な力のこと。目標通りの成果を上げるために与えられた資源を使ったり、自分で判断し意思決定したりすること

 

義務:与えられた権限を完全に行使し、責任を果たすこと

 

職務の遂行には、必ず責任があり、責任を果たすためには権限が与えられます。この責任と権限は等しい関係にあり、責任が大きくなるほど権限も大きくなります。また、責任と権限が大きくなると、義務も大きくなります。

 

リーダーのなかには、以前に一般介護職と同様に業務を抱え込んでしまい、リーダー本来の業務を行えていない人が多いようです。

 

そうならないためには、スタッフに仕事を分担させることが必要になります。スタッフに仕事を分担させるには、それを行うための権限を与えます。仕事は与えても、権限を与えないというのでは、スタッフは成長しません。スタッフの能力などを見極め、適切な仕事と権限を委譲して仕事を任せます。リーダーは、それによって空いた時間を使い、業務の改善と人材の育成を行うようにします。

 

権限委譲の基本的な姿勢

  • 部下を信頼し、高い視座からあたたかく見守る
  • 進行状況を見つめ、適宜報告を求める
  • 育成的な視点で指導・助言を行う。
  • 部下の主体性や意欲をそぐような介入は避ける
  • 誤った権限委譲は、決断よく引き戻す

その日のやりくりに追われているリーダーの例

介助にを追われる

先月、スタッフが1人退職してしまい、まだ次のスタッフが採用できていません。ところが今日、スタッフの1人が体調を崩して急に欠勤になったため、リーダーが入浴介助を手伝わなければならず、午前2時間、午後2時間を費やしてしまいました。

 

スタッフの対立が絶えない

スタッフのYさんとZさんは普段から気が合いません。今日もミーティングで、意見の食い違いで言い合いになり、利用者を迎える時間が近づいてしまいました。リーダーは2人をなだめたものの、チームの全員が不愉快な気持ちのまま利用者を迎えることとなりました。

 

クレーム対応に忙しい

家族から「トイレ介助がきちんとしていない」とクレームがありました。リーダーはそのことについてスタッフから十分な報告を受けていなかったため、状況がわからないまま、ちぐはぐな対応をしていまい、家族を怒らました。電話対応やスタッフとの事実確認に時間がかかってしまいました。

 

送迎の車がエンスト

通所サービスの送迎者のドライバーから、利用者を送る途中で車が動かなくなったと電話がありました。ほかのドライバーに連絡をとって現場に向かってもらい、利用者の家族にも帰宅が遅れることを連絡し、バタバタして会議の資料作成どころではなくなってしまいました。