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第3919冊目 介護リーダーの仕事と役割がわかる!
-小さな成功体験を実感してもらう
指導というと、「望ましい行動」がとれなかったときに行うものと思いがちですが、スタッフが何らかの「望ましい行動」を行ったときに、その行動をほめることも指導になります。その場で直接的な結果が出ていなくても、その行動自体がよいことだと認めることが大事です。ほめることはスタッフに小さな成功体験を実感させることです。スタッフは「この方法でよかった」と感じ、次からは自信をもってその行動を行うようになります。それによってさらなる意欲を引き出す効果もあります。
具体的にほめる、人前でほめる
ほめるときのポイントの1つは具体的にほめることです。リーダーはほめるつもりで「よくできてましたね」と言っても、スタッフは何がどうよかったのかわからず、成功体験になりません。「今のあなたのやさしい声かけで、いつもはトイレに行くのを嫌がっているAさん(利用者)が嫌がらずにトイレに行ってくれましたね」というように、誰に対して何をどうしたことがよかったのか、具体的にほめましょう。
また、ほめるタイミングを逃さないようにすることも大切です。午前中に行動について夕方にほめられても、スタッフはピンときません。その場ですぐにほめてこそ、スタッフは心に響くのです。
その際にほかのスタッフや利用者がいることは、むしろ好ましいことです。人前でほめられればスタッフ本人もうれしいですし、ほかのスタッフも「ああいう行動が望ましいのだ」と理解できます。利用者もそのスタッフに信頼感をもつことができます。そのためにもリーダーはスタッフの行動に目を向けておく必要があります。
ほめるときのポイント
タイミングよくほめる
その場ですぐほめる。時間が経つと効果が低下する
具体的にほめる
どのようによいのか、具体的にほめる
人前でほめる
ほかの人の前でほめられると、照れて恥ずかしい気持ちがもあるが、達成感も高まる。ほかの人への波及効果も出やすい
できて当然のこともほめる
指導役や先輩から見ると当然のことえほめることではないと思いがちだが、認めることで相手は満足感を得られ、やる気が出る
「ほめてばかり」はスタッフの成長にマイナス
ほめることはよいことですが、必要以上にほめてばかりいるのもよくありません。スタッフの中にはリーダーや仲間のスタッフ、利用者や利用者家族など周りの人にほめられることが目的になってしまい「ほめられないとやる気がしない」「ほめられることしかやらない」といった問題が起こることがあります。人間は誰でも人に認められたい、ほめられたいとう「承認欲求」をもっています。それは活動の原動力になりますが、行き過ぎれば本末転倒となります。
もし、スタッフにそのような傾向が見られた場合は、少し背伸びすれば達成できそうな新しい目標を一緒に設定するとよいでしょう。承認欲求の強い人は基本的に仕事はがんばって行うからです。