第3858冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか 久田 則夫 (著)

 

 

 

 

これまでのやり方を踏襲することに極度に執着する

 

こうした特性を示す人は二つの類型に分類できる。

 

第一は、一人の職業人としてこれまでどんな成果をあげてきたのか、明確な実績を示せない人たち。これまで漠然と業務をこなしていたため、なぜ今のやり方が正しいのか、説明できない。たとえ「今のやり方はまずいかな」との思いはあっても、「変えるのは面倒だ」という思いが強く心なかになるため、抵抗感を示す行動に走ってしまう。

 

第二は、利用者の思いやニーズよりも、自分たちの都合を優先した業務パターンにどっぷりと浸かってしまった人たち。実は、彼らは、自分たちの業務は完璧で問題がないと思い込んでいるのではない。今、求められる介護や支援、接遇の水準からいえば、低レベルの業務状況で問題があると自覚している。そのため、業務の見直しの動きがあると、これまで自分たちが作りあげた悪しき業務スタイルが白日の下にさらされ強い批判を受けるのではないか、という強い不安感に駆られる。それが、彼らを徹底抗戦の姿勢に走らせる原因になっている。

 

チャレンジ精神・向上心がない

不適切な業務にどっぷりと浸かりやすい人は、何か新しいことにチャレンジするという姿勢を示さない。これまでの業務パターンや業務スタイルに安住しようとする。知恵を絞ったり、工夫したりする必要もなければ、新しい知識や技術を身につける取り組みにも着手しなくてもいからだ。

 

そのため、向上心をもった人が張り切って、何か提案すると、猛反発する。モチベーションを根こそぎ打ち砕くような対応をする。「何かあったらどうするんだ」「失敗したらどうするんだ!」「責任を取れるのか!」などと詰め寄るような態度を示し、新たな動きを封印する。こうした言動を繰り返し、低レベルの業務状況に安住しよとする。

 

このタイプの職員は、チャレンジ精神や向上心をもった職員をつぶしにかかり、自分たちの仲間に引き入れてしまうこともある。仲間が増えれば自分たちの地位がより強固なものになる。チャレンジ精神や向上心がない状態で働いても、批判を受ける可能性を最小限に抑え込めるからだ。