第3832冊目 介護リーダーの仕事と役割がわかる! 近藤崇之 (監修)

 

-同じ目線で語り合うのが対話のポイント

 

多くのリーダーは日ごろから積極的にスタッフに声かけする、趣味のことや家族のことなどプライベートな話もする、飲み会を開催する、SNSでグループをつくるなど、さまざまな形でコミュニケーションを図っています。

 

 

コミュニケーションはスタッフとよい関係性を築くうえでも重要ですが、目標を達成するためには「協働のためのコミュニケーション」が必要です。これが対話です。

 

 

対話とは聞き手と話し手が双方の話の意味を共有し、同じ目線で自由に話し合うことです。リーダーが一方的に話すのではなく、共通のテーマをもちながらリーダーとスタッフ、スタッフ同士がお互いに意見を出し合うことが重要です。

 

 

チームのスタッフの考え方や価値観はさまざまです。そのためにチームとしての合意が取りにくい場合もありますが、たとえば「利用者ニーズを把握してよりよいサービスを提供する」という共通のテーマのもとに対話を行えば、さまざまな視点からどんなサービスが必要かという意見が出てきます。これは多様な利用者ニーズに応えるという意味でとても有効になります。

 

 

対話の原則はコミュニケーションの基本である「相手を理解し、共感的な姿勢で傾聴すること」です。考え方が違うスタッフ同士では時間がかかることもありますが、対話を進めていくことでお互いの理解と信頼が深められるようにリーダーは配慮する必要があります。

 

 

対話で話される内容は、「利用者サービスの向上」「仕事の効率化」など仕事に関するとても真剣なものです。しかしその雰囲気は自由なムードでなければなりません。真剣な内容は緊迫したムードで話すのは「議論」です。「議論」はときに険悪なムードになったり、理解し合えず対立が深まったりすることがあります。リーダーは「対話」と「議論」の違いを踏まえ、スタッフが自由な雰囲気の中で意見を述べられるようにします。