第3444冊目 できる人の仕事の基本ワザ大全―――時間管理から人間関係、発想術まで、今日からすぐ使える! (知的生きかた文庫) 幸運社 (編集)

 

 

 

 

 

-相手がすぐ動く伝え方

 

 

「○○君、企画書を作っておいて」と頼んだのに、関係者や部下がなかなか動いてくれないことがあります。

 

 

このように依頼から実行までに生まれる時間的なズレを、タイムラグと呼びます。

 

 

相手がすぐにとりかかってくれないと、依頼した人は、「すぐにやってほしいから頼んだのに、○○君はわかっていない。後回しにされるのなら、別のことに時間を使っていたのに……」と、保留になった時間を惜しいと思うかもしれません。

 

 

さらにいえば、イライラさせられるのも、やはりムダな時間です。気の短い人なら、思い通りに動いてくれないことに腹を立て、「すぐやれよ」と厳しい口調で命じたり、「ほかに急ぎの仕事でもあるのか」と声を荒げてしまったりするかもしれません。もちろ、そうした言動はパワーハラスメントと捉えられかねませんから要注意です。

 

 

そこで応用したいのが、アメリカの心理学者エイブラムズが導き出した「最も効果的な人の動かし方」です。先ほどの「企画書を作っておいてほしい」という依頼を、次の4種類の言い方で伝えたとします。

 

 

①明日の会議までに企画書を作っておいてほしい。

②この企画は大切なものなので、明日の会議までにできあがっていないと困るんだ。

③この企画は大切なものなので、明日の会議までにできあがっていないとたいへんなことになるぞ。

④この企画は大切なものなので、明日の会議までに企画書ができていないと、部署の存在意義が問われる大問題になるから、早く進めてくれ。

 

 

①はまったく脅しを含まない依頼、②は弱い脅しを含む依頼、③は中程度の脅しを含む依頼、そして④は強い脅しを含む依頼方法です。④の言い方が効果的に見えますが、この伝え方では相手が反発し、かえって動きません。これは「心理的リアクタンス」という心の動きに由来するものdせう。

 

 

エイブラムズによると、最も効果的なのは②の弱い脅しを含んだ依頼方法です。タイムラグを減らすには、ちょっとだけ強めに命じるのが秘訣といえるでしょう。