第3440冊目 できる人の仕事の基本ワザ大全―――時間管理から人間関係、発想術まで、今日からすぐ使える! (知的生きかた文庫) 幸運社 (編集)

 

 

 -「簡単なこと」から着手する

 

 

タイムマネジメントは、単に管理だけに留まるわけではありません。

 

 

たとえば「○月×日の15時から企画会議」というスケジュールを関係者に知らせたとします。そして全員が時刻通り、会議室に着席したところで、検討すべき事項の資料が準備できていなければ会議としてうまく機能しません。

 

 

この場合、出席者が納得できるような資料を事前に作成し、会議の始まる時点、あるいは事前に配布できていて、はじめて「タイムマネジメント能力あり」と評価されるのです。

 

 

資料の作成にかかった時間も、人事評価の際に加味されることがあります。これまでは「企画会議までに資料ができていればいい」と判断されていたかもしれませんが、「Aさんは資料作りに5時間かかったが、Bさんは3時間ですませることができた」(もちろん、資料の出来は要求レベルを超えているとして)という場合には、Bさんのほうが「優れたタイムマネジメント能力を持っている」と評価されます。

 

 

それでは、仕事のスピードをあげるためには、どうすればよいのでしょうか。

 

 

その方法のひとつが「簡単なことから始める」です。

 

 

ひとくちに「仕事」といっても、その中身はいろいろです。資料作りを例にあげると、文書の作成やグラフの作成が必要になるでしょう。どちらを簡単と考えるかは人によって異なりますが、いずれにしても「簡単にできる」と思えるほうから先に手をつけると、仕事のスピードがあがります。

 

これは、脳内物質の働きに関係しています。脳の働きがよくなるためには、アセチルコリンという神経伝達物質の分泌が欠かせません。しかし、アセチルコリンを分泌する側座核という部分は鈍感で、刺激を受けてから分泌が始めるまでにタイムラグがあります。

 

 

つまり、最初から難しい仕事に取り組んでしまうと、その時点で脳がうまく働いていないと、仕事を効率良くこなすことはできません。

 

 

その点、簡単な仕事から始めて、そのあとで難しい仕事にとりかかれば、ちょどアセチルコリンが分泌されている時間帯と異なるようになり、仕事がはかどるというわけです。