第3424冊目 90秒で好かれる技術 単行本(ソフトカバー) ニコラス・ブースマン (著), 中西 真雄美 (翻訳)

 

 

90秒で好かれる技術

90秒で好かれる技術

 

 

 

-短時間で人とつながりたいときは、その理由を示せばうまくいく

 

 

ハーバード大学社会心理学者エレン・ランガーは、適切な刺激を与えられると、人は何も考えないで無意識のうちに反応するという研究のなかで、これを実証した。

 

 

実験はこんな具体に行われた。混雑した図書館で、コピーを待つ人の列に被験者が近づいていき、「すみません、5ページコピーしたいのですが、とても急いでいるので先に使わさせていただけませんか?」と頼んだ。この要求は94%の承諾率を得た。

 

 

次に、同じ機会の前に並んでいる別のグループに近づき、「すみません、5ページコピーしたいのですが、先に使わさせていただけませんか」と頼んでみた。この場合の成功率は60%だった。

 

 

ここで驚くのはまだ早い。しばらくして、またコピーの列に近づいて、今度は「すみません、5ページあるのですが、コピーしなければならないので先に遣わさせていただけませんか?」と頼んだ。承諾率はまたもや93%まで跳ね上がった!

 

 

無意識の反応は、理由に左右される。あるいは少なくとも理由らしきものに左右される。人は決定を下し、自分の行動を正当化するために、理由と必要とする。ランガーの実験では、理由が本来理由といえるものではなく、理由のように聞こえるだけでの場合でも、よい反応を引き出すには充分であることを示している。

 

 

「(なぜなら)……ので」という言葉はたいていそのあとに何らかの情報がついてくるもので、大半の人にとってそれが行動を引き起こすきかっけになってきた。そのため「(なぜなら)……ので」という言葉は、パターン化された反応……この場合であれば、「いいですよ」と承諾する――を引き起こすには充分な、強いパワーをもっているのだ。

 

 

具体的な情報がなくても、そんなことはかまわない。それは握手と同じだ。誰かがあなたに右を差し出したら、あなたは何も考えずに右手を差し出すだろう。

 

 

たとえばあなたがQ社とビジネス関係をもちたいと思っているなら、その会社の重要な人物と出会った場合に、たんに「お会いできて光栄です」と言う挨拶にとどめず、「御社の先駆的なプロジェクトXYZについていろいろと資料を読んでいたものですから」と付け加えればうまくいく可能性がグッと高まるのだ。