第2941目 カリスマは誰でもなれる オリビア・フォックス・カバン (著), 矢羽野 薫 (翻訳)


カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

  • 感情の伝染


リーダーシップをふるまう人にとって、ボディランゲージはとりわけ重要だ。その理由は「感情の伝染」と呼ばれる現象で、行動科学では「ある人が表現した感情に、別の人がとらわれるプロセス」とも礼儀される。カリスマのある人は、自分の感情を他人に伝染させる能力が高い。リーダーがボディランゲージで伝える感情は、短時間のちょっとしたやりとりでも、チームや企業全体に波及することもある。


この波及効果は、脳のミラーミューロンが引き起こす。ミラーニューロンた他人の感情を見て、自らの感情のように反応する。他人の振る舞いや表情から感情を読みとると、ミラーニューロンはその感情を再生する。だから私たちは他人に共感できるのだ。


私のもとには、強い個性と強力なカリスマを持っているが、感情の伝染について学ぶ必要に駆られたリーダーからの依頼が少なくない。そこでコーチングでは、彼らが誰にどのような影響を与えることができるかを分析して、そのスキルを意のままに操る方法を学ぶ。


たとえば、あなたが不安な精神状態で人と向き合っているとしよう。相手があなたのボディランゲージを読むと、相手のミラーニューロンが反応して、あなたのボディランゲージに伴う精神状態を鏡のように再生する。その人がさらに別の人に会うと、このプロセスが繰り返され、あなたの感情が広まっていく。感情の伝染は、「連鎖反応のように人々を覚醒させる」。組織の中では、基本的にリーダーの感情が最も速く伝染する。人間は、力のある地位の人に強く影響を付けるからだ(ここでも生存本能が活躍する)。つまり、リーダーの感情は、伝染して人々の効率性に大きな影響を及ぼしうる。