第3409超訳 孫子の兵法 「最後に勝つ人」の絶対ルール (知的生きかた文庫) 田口 佳史   (著)

 

 

 

 

たとえば、非常に条件のいい仕事が舞い込んできて、「やります」と即答したら、法スレスレの行為を強要された、なんてことになるかもしれません。

 

 

あるいは悩んでいるときに救いの手が差しのべられて、「ありがたい」とその手にすがったら、お金をだまし取られた、というようなこともあるでしょう。

 

 

どんなにうまい話であっても容易に乗らず、「何か裏があるんじゃないか」と疑ってかかるくらいでちょうどいいのです。

 

 

孫子のこの言葉から学ぶべきは、「常に用心深くあれ」ということ。

 

 

同じようなことを、老子も言っています。「予として冬に川を渡るが若く、猶として四隣を恐るるが若く……」というのがそれ。

 

 

「予」とは、慎重に。冬に凍った川を渡るときは、氷が割れないか、表面をトントン叩きながら慎重に進みますね? また不穏な時代はとくに、いつ何が起こるかわかりまえせんね?

 

 

だから常に「猶」、用心深く。周囲に敵がいることを想定して、「どこかによからぬ者がいないか。自分を陥れようとしている者はいないか」と、目配りを怠ってはいけない。老子はそんなふうに言って、用心深く人生を歩むことの大切さを説いているのです。

 

 

あと一つ付け加えると、人と会うときの相手の顔色や表情、動作などを細かく観察する必要があります。本心で何を考えているかを探る手がかりになるからです。

 

話に熱中しながらも、たとえば、

 

 

「目が泳いだ。ウソをついてるな」

「顔色が変わった。こちらの予測は図星だな」

「足を組み替えた。こちらの予測は図星だな」

「手が震えてる。表情はにこやかだけど、相当緊張しているな」

「腕を組んでる。あまり信用されていないんだな」

上着を脱いだ。心を開いている証拠だな」

 

 

といった具合に、表情や動作などから心のなかを読み取っていくのdせう。

 

 

注意深く観察していると、意外とよくわかるもので、そうして得た情報を今後のビジネスや人間観察に生かすといいでしょう。