第3407超訳 孫子の兵法 「最後に勝つ人」の絶対ルール (知的生きかた文庫) 田口 佳史   (著)

 

 

 

 

-何事も「現場重視」で判断せよ

 

 

攻撃においては、ただ突っ込めばいいというものではない。通らないほうがいい道もあれば、撃たないほうがいい軍、攻めたほうがいい城、争奪しないほうがいい場所、従わないほうがいい君命もある。ひとえに現場の判断を重視しなさい。

 

 

ここで孫子が言っているのは「判断は現場に任せなさい」ということです。

 

 

行軍の過程で、たとえば「この道は思ったより難所だ。別の道を行おう」とか、「この城は予想以上に攻略しづらい。とりあえず素通りして、戦力と時間の浪費を避けよう」「この土地は意外にも不毛だ。奪っても利益はないから、やめておこう」といった具合に、現場の状況に応じた判断をしなくてはなりません。

 

 

もっと重要なのは、現場の判断に対して、そこにいない権力者が、「何が何でも予定通りにやれ」と命令してきたとき、現場の長はそれを拒絶していい、としている点です。荀子に「逆命して君を利す、これを忠と謂う」という言葉があるように、自国の利益のためなら、君主の命令に逆らう勇気のある将軍こそが、優れたリーダーなのです。

 

 

これはそのまま、ビジネスや人生にも当てはまります。仕事でも日常でも、ハプニングはつきもの。そのハプニングはいつだって現場で起こります。だから現場にいない人には、的確な判断が下せないのです。

 

何につけ、目的はより良い結果を出すこと。

 

 

上の者が何と言おうと、現場にいる人間は「現場判断でこうします。そのほうがこれだけの利益が出るんです」と説得できなければいけません。「命令に背いたら、上司の逆鱗に触れる」などと恐れる必要はないのです。