第3408超訳 孫子の兵法 「最後に勝つ人」の絶対ルール (知的生きかた文庫) 田口 佳史   (著)

 

 

 

 

-「うまい話」には気をつけろ

 

 

何か事が起こるときは、必ず前ぶれがある。どんな些細な現象も見逃さず、早いうちに事がどう変化していくかを察知しなければならない。

 

 

孫子はここで、敵情を察知するための方法論を、事細かく述べています。おもしろいところをいくつか紹介しておきましょう。

 

 

行く手に険しい場所や池、窪地、葦原、林、草木の密生した暗がりなどがあるときは、敵兵が潜伏している。

敵がこちらの近くまで追っていながら静かにしているときは、険しい地形を頼みにして、こちらが出てくるのを待ち受けている。

木々が揺れて動いているのは、敵軍が進撃してくるしるしである。

鳥が飛び立つのは、伏兵がいる証拠である。

獣が驚いて走り出したら、森林に潜む敵兵が奇襲攻撃を仕掛けようとする予兆だ。

土埃が高くまっすぐ舞い上がったら戦車部隊の進撃を、土埃が低く一面に拡がったら歩行部隊の進撃を、土埃があちこちで細長く筋を引いていたら使役が薪をとっていることを、土埃がかすかに移動しながら舞い上がっていたら宿営の準備をしていることを見てとる。

 

どうでしょう、かなり緻密に観察していると思いませんか?

 

 

孫子の観察眼に心服させられると同時に、ほんの些細な現象の見逃しさえしなければ、敵の動きを正確に察知できるんだとわかります。

 

こういった方法論は、人生や仕事にさまざまな場面に応用できます。

 

 

総じて言えることの一つは、「うまい話には裏がある」ということ。