第3405超訳 孫子の兵法 「最後に勝つ人」の絶対ルール (知的生きかた文庫) 田口 佳史   (著)

 

 

 

 

-「水面下の動き」も察知せよ

 

 

四方八方に気を巡らし、いつ何時、何事が起きても対応できるよう、心の準備をしておかなくてはならない。包括的直観力を養うことがポイントである。

 

 

仕事も人生も「見えないもの」に左右されることが多いもの。「まさかこんな事態になろうとは」「まさかこんな人事があろうとは」「まさかあの人があんな行動に出ようとは」など、「まさか」の連続です。

 

 

しかし、「まさか」の多い人は周囲への目配りが足りなかったと反省すべき。

 

 

たとえば、私のところへも「まさか自分が抜擢されるとは思わなかった」と、嬉しそうに昇進の報告に来る人がいます。そういうとき、私は決まってこう言うんです。

 

 

「まさかって言うけど、君、その人事は君の知らないところで進んでいたんじゃないの? 今日突然、決まったわけじゃないでしょ」

 

 

暗に、私は「水面下の動きも察知できないようではダメだよ」と諭しているのです。

 

 

現代人はどうも「包括的直観力」が鈍っているような気がしてなりません。物事の見方や観察が一面的になっていて、目の前に見えるもの、あるいは見たいものだけしか見えていないと思うのです。

 

 

そんなふうでは人はみんな、鈍感になってしまいます。肩の力を抜き、首の筋肉を柔らかくして、常に遠くから四方八方の状況に気を巡らす。自分にとって有利・不利に関係なく、取れるだけの情報を取る。

 

 

それによって、どんなことが起こりうるかをさまざまに仮定し、何事にも対応できるだけの準備をしておく。つまり、「包括的直観力による仮定の設定に基づいて、先手先手で対応策を打つ」ことが重要です。