第3403超訳 孫子の兵法 「最後に勝つ人」の絶対ルール (知的生きかた文庫) 田口 佳史   (著)

 

 

 

 

-能力を「分散」してはならない

 

 

競争の少ない地味な分野で、独自の能力を磨きなさい。一点集中主義でいけば、際立った存在になれる。

 

 

経営ではよく「選択と集中」が大事だと言われます。たとえば「ここなら勝てる」という分野を決め、そこにヒト・モノ・カネという経営資源の八割を注ぐ。そのうえで、あと二割の力を均等配分して、他の分野に投下する。そういう経営戦略を持て、ということです。

 

それはなぜか。いろんな分野の力を総花的に強化しても、総合力は上がるでしょうが、突出して強い分野をつくることができません。どの分野もボチボチで、ライバルたちに食われることは目に見えているからです。

 

 

それより「ここなら勝てる」という得意分野、もしくはライバルの少ない分野を選択して、そこを集中して強化することで、独自性の高い際立った経営を目指したほうがいい、とうことです。

 

 

孫子のこの言葉はそれに似ています。個人で言えば、ほかの人があまり強くしたいと思わないような能力に磨きをかけ、達人がうようよしている分野の能力はそこそこでいい、とする考え方ですね。

 

 

たとえば、いまや英語はできて当たり前。でも、英語力はあったほうがいいので、ビジネス会話くらいはできるようにやっておく。それが二割の力だとしてら、残る八割の力をヒンディー語の習得に注ぐ。

 

 

これからはアジアの時代で、インド市場は成長著しいと目されていますが、いまのところはまだヒンディー語を自在に駆使できる人は少ないですよね。そういうことろを狙って、集中的に自分の能力の増強を図るわけです。

 

 

ようするに能力の「集中と分散」。ビジネスに必要な能力を慎重に見極めて、達人・強豪の多い分野では戦わず、ライバルの少ない分野で一人勝ちをおさめる。それがナンバーワンへの近道なのです。