第3376冊 プロフェッショナルの条件――いかに成果をあげ、成長するか P・F. ドラッカー (著), Peter F. Drucker (原著), 上田 惇生 (翻訳)

 

 

 

-劣後順位の決定が重要

 

 

明日のための生産的な仕事は、それらに使える時間の量を上回って存在する。加えて、明日のための機会は、それらに取り組める有能な人の数を上回って存在する。もちろん、問題や混乱は十分すぎるほど多い。

 

 

したがって、どの仕事が重要であり、どの仕事が重要ではないかの決定が必要である。唯一の問題は、何がその決定をするかである。自らが決定するか、仕事からの圧力が決定するかである。何が決定するかにせよ、仕事は利用できる時間に合わせて行わざるをえない。機会は、それを担当する有能な人が存在して、初めて実現できる。

 

 

圧力に屈したときには、重要な仕事が犠牲にされる。特に仕事のうちもっとも時間を使う部分、意思決定を行動に変えるための時間がなくなる。いかなる仕事も、組織的な行動や姿勢の一部になるまでは、スタートしたことにはならない。いかなる仕事も、誰が自分の仕事として引き受け、新しいことを行う必要や、新しい方法を行う必要を受け入れなければ始まらない。いかにプロジェクトとして完結しているかに見えても、それを誰が自分の仕事としてルーティンかしなければ完結するに至らない。時間がないために、それらのことが行われた場合には、それまでの仕事や労力はすべて無駄になる。だが仮にそうなっとしても、それは単に、仕事の優先順位を決定しなかったことの当然の報いである。

 

 

実は、本当に行うべきことは優先順位の決定ではない。優先順位の決定は比較的容易である。集中できる者があまりに少ないのは、劣後順位の決定、すなわち取り組むべきではない仕事の決定と、その決定の遵守が至難だからである。