第3365冊 プロフェッショナルの条件――いかに成果をあげ、成長するか P・F. ドラッカー (著), Peter F. Drucker (原著), 上田 惇生 (翻訳)

 

 

 

人と組むか、ひとりでやるか

 

 

理解の仕方と学び方こそ、最初に考えるべきもっとも重要なことである。しかし、この二つだけでは十分ではない。仕事の仕方として、人と組んだほうがよいか、ひとりのほうがよいかも知らなければならない。組んだほうがよいのであれば、どのように組んだときよい仕事ができるかを知らなければならない。チームの一員として働くとき、最高の人がいる。助言役として、最高の人がいる。教師や相談役として最高の人がいる。相談役としては、まったく価値のない人もある。

 

もう一つ知っておくべき大事なことがある。仕事の環境として、緊張感や不安があったほうが仕事ができるか、安定した環境のほうが仕事ができるかである。

 

さらには、大きな組織で歯車として働いたほうが仕事ができるか、小さな組織のほうが仕事ができるかである。どちらでもよいという人はあまりいない。GEやシティバンクのような大きな組織で成功しながら、小さな組織に移ったとたん、仕事がうまくいかなくなる人が大勢いる。逆に、小さな組織では素晴らしい仕事をしていながら、大きな組織に移ったとたんに、途方にくれる人がいる。

 

また、仕事上の役割として、意思決定者と補佐役のどちらのほうが成果をあげるかという問題がある。補佐役として最高でありながら、自ら意思決定をする重荷には耐えられない人がいる。逆に、勇気ある意思決定を自信をもって迅速に行う人がいる。

 

 

ナンバー・ツーとして活躍していたが、トップになったとたん挫折する人がいる。トップの座には、意思決定の能力が必要である。強力なトップは、信頼できる助言者としてナンバー・ツーを必要とする。ナンバー・ツーは、ナンバー・ツーとして最高の仕事をする。ところが、トップの跡を継いだとたん、仕事ができない。意思決定すべきことは理解しているが、意思決定の重荷を負えない。

 

これらのことから出てくる結論は一つである。今さら自らを変えさせようとしてはならない。不得意な仕方で仕事を行おうとはしてはならない。