第3364冊 プロフェッショナルの条件――いかに成果をあげ、成長するか P・F. ドラッカー (著), Peter F. Drucker (原著), 上田 惇生 (翻訳)

 

 

 

 

 

-仕事の仕方に着目する

 

 

自らがいかなる仕事を得意とするかは、強みと同じように重要である。実際には、強みよりも重要かもしれない。ところが驚くほど多くの人たちが、仕事にはいろいろな仕方があることを知らない。そのため得意ではない仕方で仕事をし、当然成果はあがらないという結果に陥っている。

 

 

強みと同じように、仕事の仕方も人それぞれである。個性である。生まれつきか、育ちかは別として、それらの個性は仕事につくはるか前に形成される。したがって、仕事の仕方は、強みと同じように与件である。修正できても、変更することはできない。少なくとも簡単にはできない。そして、ちょうど強みを発揮できる仕事で成果をあげるように、人は得意な仕方で仕事の成果をあげる。

 

 

フィードバック分析は、不得意とする仕事の仕方も明らかにする。しかし、原因を明らかにすることはほとんどない。とはいえ、不得意な仕事の仕方を発見することはむずかしくない。仕事の経験が何年かは必要かもしれないが、やがて、いかなる仕事の仕方が成果をもたらすか、ただちに答えられるようになる。いくつかの性癖が、すでに仕事の仕方を規定しているからである。

 

 

仕事の仕方について初めに知っておくべきことは、自分が読む人間か、それとも聞く人間かということである。つまり、理解の仕方に関することである。世の中には読み手と聞き手がいること、しかも、その両方であるという人はほとんどいないということは知らない人が多い。自分が、そのどちらであるかを認識している人はさらに少ない。だが、これを知らないことが、いかに大きな害をもたらすかについては多くの例がある。

 

 

もう一つの仕事の仕方について知っておくべきことは、仕事の学び方である。学び方は、読み手か聞き手かという問題以上に深刻な状況にある。なぜならば、世界中のあらゆる国のあらゆる学校が、学び方には唯一の正しい方法があり、それは誰にとっても同じであることの前提に立っているからである。