第744冊目 経営者の条件 P.F.ドラッカー/著 上田惇生/訳

ドラッカー名著集1 経営者の条件

ドラッカー名著集1 経営者の条件

目次


序章 成果をあげるには
第1章 成果をあげる能力は修得できる
第2章 汝の時間を知れ
第3章 どのような貢献ができるか
第4章 人の強みを生かす
第5章 最も重要なことに集中せよ
第6章 意思決定とは何か
第7章 成果をあげる意思決定とは
終章 成果をあげる能力を修得せよ


時間は普遍的な制約条件


通常、仕事についての助言は「計画せよ」から始まる。もっともらしく思えるが、問題はそれではうまくいかないところにある。計画は紙の上で消える。よき意図の表明に終わる。実行されることは稀である。


私の観察では、成果をあげる者は仕事からスタートしない。時間からストーとする。計画からもスタートしない。時間が何にとられているかを明らかにすることからスタートする。次に時間を管理すべく、時間に対する非生産的な要求を退ける。そして最後にそうして得られた自由になる時間のための時間管理の基本とする。


したがって、時間を記録する、整理する、まとめるの三段階にわたるプロセスが、成果をあげるための時間管理の基本となる。


成果をあげる者は、時間が制約要因であることを知っている。あらゆるプロセスにおいて、成果の限界を規定するものは最も欠乏した資源である。それが時間である。


時間は特異な資源である。主要な資源のうちでは、資源は豊富にある。経済発展や経済活動の阻害要因になっているものは、資金提供ではなく資源需要であるとさえいってよい。もう一つの資源である人材は、雇うことができる。ところが時間は、借りたり、雇ったり、買ったりして増やすことができない。


時間の供給は硬直的である。需要が大きくとも供給は増加しない。価格もない。限界効用曲線もない。簡単に消滅し、蓄積もできない。永久に過ぎ去り決して戻らない。したがって時間は常に著しく不足する。


時間は他のもので代替できない。ほかの資源ならば、限界はあっても代替できる。アルミの代わりに銅で代替できる。労働の代わりに資本で代替し、肉体の代わりの知識で代替できる。時間にはその代わりになるものがない。


時間はあらゆることで必要となる。時間こそ真に普遍的な制約条件である。あらゆる仕事が時間の中で行われ、時間を費やす。しかしほとんどの人が、この代替できない必要不可欠にして特異な資源を当たり前のように扱う。おそらく時間に対する愛情ある配慮ほど成果をあげている人を際立たせるものはない。


しかし一般の人は時間を管理する用意ができていない。


あなたに、すべての良きことが、なだれのごとく起きますように♪


今日の声に出したい言葉


大学入試も同じで、参考書や問題集をあっちこっち手をつけるよりも、同じテキストを何度も繰り返して、徹底的に頭に擦り込んだ人のほうがうまくいくものです。何でも同じでしょうが、思考のスピードは速くするには、「基礎を徹底的に身につけること」も重要な要素なのです。――伊藤真

 

編集後記






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