第3375冊 プロフェッショナルの条件――いかに成果をあげ、成長するか P・F. ドラッカー (著), Peter F. Drucker (原著), 上田 惇生 (翻訳)

 

 

 

 

 

自らが成果をあげることを望み、組織が成果をあげることを望む者は、常に計画、活動、仕事を点検する。「これは価値があるか」を自問する。答えがノーであるならば、仕事の成果や組織の業績にとって、真に意味のある仕事に集中するために、それらのものを捨てる。成果をあげる者は、新しい活動を始める前に必ず古い活動を捨てる。肥満防止のためである。組織は油断するように、体型を崩し、しまりをなくし、扱いがたいものとなる。人からなる組織も、生物の組織と同じように、スマートかつ筋肉質であり続けなければならない。

 

 

新しいものにやさいいものはない。新しいものは、必ず問題にぶつかる。したがって、悪天候に入ったときに切り抜ける手だてを最初から講じおかなければ、失敗は必然である。そして。新しいものを難局から救う唯一の手だてが、仕事のできる人を用意しておくことである。そのような人は、常に忙しい。今の負担を軽くしてやらなければ、新しい仕事を引き受けてはならない。

 

 

新しいもののために新しく人を雇うことは危険である。すでに確立され、順調に運営されている活動を拡張するためには、新しく人を雇い入れることができる。だが新しいものは、実績のある人、ベテランによって始めなければならない。新しい仕事とうものは、どこかで誰かがすでに行っていることであっても、すべて賭けである。したがって、経験のある人ならば、門外漢を雇って新しい仕事を担当させるなどという、賭けを倍にするまねはしない。よそで働いていたときには天才に見えた人が、自分のところで働き始めて、半年もたたないうちに失敗してしまうという苦い経験を何度も味わっている。